SMSL VMV T2

参考価格: ? 159800
総合評価
2.7
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.8
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.3

MQA-CD対応、デュアルAES/EBUやI2S、LDAC Bluetooth、10 MHzクロック入出力まで備える多機能CDトランスポート兼USB-DDCです。第三者測定は未確認で、一般的にはDAC一体型の方が合理的です。

概要

SMSL VMV T2は、CDトランスポートとデジタルインターフェース(USB入力、デュアルAES/EBU出力、I2S、同軸/光)を統合し、LDAC対応Bluetooth、MQA-CD、ワードクロック(44.1 kHz)入出力および10 MHz外部クロック入力に対応するディスク中心のデジタルハブです。USBは最大32bit/768 kHz、DSD512までをサポートします [1][2]。日本の流通価格は変動しますが、基準として米国SMSL公式ショップの価格は1068 USDです [3]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

現時点でT2のジッターや出力信号品質に関する信頼できる第三者測定は見当たりません。メーカー資料では、CDトランスポートとしての機能、USB最大768 kHz/DSD512、MQA(MQA-CD含む)、LDAC対応Bluetooth、44.1 kHzワードクロック入出力と10 MHz外部クロック入力などの仕様が確認できます [1][2]。このクラスのデジタルトランスポートと現代的なDACの組み合わせでは、正しく実装されていればトランスポート側ジッターによる可聴差は生じにくいと考えられ、今後測定が公開されても“音質が良くなる”ことを示唆するものではなく、透明性の確認に留まると位置づけます。独立データ不在につき基準値の0.5とし、事実確認できる機能記述に限定します [1][2]。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

独自サーボP.A.S.S.、低位相雑音発振器、50 Ω/75 Ω切替式クロック入力、内部クロックアライメント処理、デュアルトロイダル電源、デュアルAES/EBU+I2Sを含む広いI/Oなど、設計は堅実です [1][2]。10 MHz外部クロック受けも価格帯では珍しい一方、業界水準を大きく超える革新性までは示していないため0.6です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.8}\]

同等以上の最安候補はShanling ET3で、MQA-CD対応、USB/I2S/AES/EBU出力、Bluetooth/Wi-Fi、ハイレゾファイル再生などT2同等以上の機能を備え、899 USDで入手可能です [4]。
計算(USD基準): 899 USD ÷ 1068 USD = 0.8420.8

補足:Cambridge CXC(599 USD)やAudiolab 6000CDT(799 USD)はCD専用のためUSB/I2Sや(一部で)AES/EBUを欠き、機能同等の比較対象にはなりません。ただし「CD→S/PDIFのみ」で足りる場合の低コスト選択肢としては有力です [5][6]。
※本記事のCPは日英ともUSDで統一しています。日本価格の目安は159,800円(1068 USD)です。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

保証期間は販売店・地域で差があり、SMSL公式ショップは「製品ごとに記載」と案内、正規小売では2年と明示される例もあります [7][8]。機械式CD機構は故障リスクが相対的に高く、長期データは未整備です。マニュアル/ファームの提供は確認できますが、大手老舗ほどの広域サポート網ではありません [1][2][7]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.3}\]

外部10 MHzクロックや多彩なI/Oなど機能面の投資は大きいものの、可聴差を裏付ける第三者データがなく、コストが実用上の音質改善に直結しているかは不透明です。測定に基づく優位性の提示がない現状では、合理性評価は低位となります。

アドバイス

多くの読者にとっては、DAC一体型のプレーヤー/ストリーマーの方が合理的で費用対効果にも優れます。DAC内でクロックを完結でき、配線や設定が簡素になり、別筐体に費用を割く必要がありません。どうしても使いたい外部DACがある、かつデュアルAES/I2SやMQA-CD処理、10 MHzクロックI/OなどT2のI/Oを明確に必要とする場合に限って、T2を選ぶ価値があります。ディスク→S/PDIFのみならCXCや6000CDTが経済的です [5][6]。同等機能をより低価格で求めるならShanling ET3(899 USD)が有力です [4]。

参考情報

[1] SMSL Audio,「VMV T2」https://www.smsl-audio.com/portal/product/detail/id/879.html(参照 2025-08-28)
[2] SMSL Audio,「VMV T2 取扱説明書(PDF)」https://www.smsl-audio.com/upload/original/VMVT2Manual.pdf(参照 2025-08-28)
[3] SMSL Shop,「VMV T2」https://smsl.shop/products/vmvt2(参照 2025-08-28)
[4] Sky by Gramophone,「Shanling ET3 Digital CD Transport」https://skybygramophone.com/collections/shanling/products/shanling-et3-digital-cd-transport(参照 2025-08-28)
[5] Upscale Audio,「Cambridge Audio CXC v2」https://upscaleaudio.com/products/cambridge-audio-cxc-v2-cd-transport(参照 2025-08-28)
[6] Crutchfield,「Audiolab 6000CDT」https://www.crutchfield.com/p_2486KCDTS/Audiolab-6000CDT-Silver.html(参照 2025-08-28)
[7] SMSL Shop,「Warranty & Returns」https://smsl.shop/pages/warranty-returns(参照 2025-08-28)
[8] SHENZHENAUDIO,「S.M.S.L VMV T2」https://shenzhenaudio.com/products/s-m-s-l-vmv-t2-mqa-cd-player(参照 2025-08-28)

(2025.8.28)