Sony MDR-1AM2

参考価格: ? 36950
総合評価
2.9
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.5
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.6

ALCP振動板とバランス接続に対応した軽量なハイレゾ対応ヘッドホン。快適な装着感が特徴。

概要

Sony MDR-1AM2は2018年にリリースされたハイレゾ音源対応の密閉型ヘッドホンです。40mmのALCP(アルミニウムコート液晶ポリマー)振動板を採用し、公称値で3Hz-100kHzの広帯域再生を実現しています。187gという軽量設計と快適な装着感を特徴とし、標準の3.5mmケーブルに加えて4.4mmバランスケーブルも同梱されています。ソニーのハイレゾオーディオ製品群の一つとして、一般消費者向けのV字型サウンドシグネチャーが採用されています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

第三者の詳細な測定データによれば、本機の周波数特性は低域と高域に複数のピークを持つ典型的なV字型を示します。これは意図的なチューニングであり、科学的な意味での音源への忠実性(フラットな特性)とは異なります。高調波歪率は全帯域で低く抑えられており、ドライバーユニットの素性の良さを示唆しますが、V字型の周波数特性が全体の評価を下げています。16Ωの低インピーダンスは多くの機器で駆動しやすいという利便性はありますが、音質そのものの科学的優位性を意味するものではありません。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

ALCP振動板技術は、40mmドライバーの剛性と軽量化を両立させるための有効なアプローチです。アルミニウムコーティングによる高周波特性の改善は技術的に合理的であり、4.4mmバランス接続への標準対応も当時の設計思想を反映しています。187gの軽量設計と高品質な人工皮革イヤーパッドの採用は、長時間の装着快適性を高めるための優れたエンジニアリングです。しかし、2025年現在から見ると、これらの技術は標準的な範囲内であり、特に革新的とは言えません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.5}\]

本製品は生産終了品ですが、レビュー時点での実勢価格は約36,950円です。本機の測定性能(周波数特性、歪率など)を基準にすると、より安価で、より音源に忠実な周波数特性を持つとされるAKG K371(実勢価格 約20,000円)などが存在します。K371はバランス接続に非対応ですが、ヘッドホンとしての基本的な音響性能ではMDR-1AM2と同等か部分的に上回ります。計算式:20,000円 ÷ 36,950円 = 0.54となり、コストパフォーマンスは高いとは言えません。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

ソニーブランドとしての基本的な品質管理と保証体制は業界標準を満たしています。しかし、本製品は2025年現在、生産終了品です。そのため、新品での入手は困難であり、将来的なメーカー修理対応(部品保有期間終了後)には不安が残ります。初期不良率やMTBFに関する具体的なデータは公開されていませんが、ソニーの一般的なコンシューマー製品と同程度の信頼性は期待できると考えられます。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

ハイレゾ音源対応という方向性自体は、音質向上の可能性を追求する上で合理的です。ALCP振動板による物理特性の改善や、クロストークを低減するバランス接続への対応も、測定可能な性能向上に寄与します。しかし、最終的な音作りとしてV字型のコンシューマー向けチューニングを選択した点は、純粋な音源の透明度追求からは逸脱しています。これは「音楽的な楽しさ」といった主観的価値を重視した設計思想であり、専用オーディオ機器としての科学的合理性よりも市場の嗜好を優先した結果と言えます。

アドバイス

MDR-1AM2は、187gという卓越した軽量設計と快適な装着感を最優先するユーザーにとって魅力的な選択肢です。しかし、本製品はすでに生産を終了しており、音質面ではV字型のキャラクターが強いため、音源忠実性を求める方には向きません。4.4mmバランス接続は長所ですが、この機能が必須でなければ、より安価で客観的な測定性能において優れたAKG K371のような現行製品も存在します。今から本製品を探すよりは、より入手しやすく、用途に合った現行モデルを検討することが合理的な判断と言えるでしょう。

(2025.7.31)