Sony MDR-Z7M2
70mmドライバー搭載の密閉型。暖かく落ち着いた音だが測定上の偏りが残り、より安価でニュートラルな代替品が存在するため価値は限定的です
概要
MDR-Z7M2は初代MDR-Z7の後継となるソニーのプレミアム密閉型ヘッドホンです。アルミコートLCP振動板を用いた70 mmドライバー、フラグシップZ1R由来のフィボナッチパターングリル、4.4 mmバランスケーブルを備えます。公称インピーダンス56 Ω、感度98 dB/mW、周波数特性4 Hz–100 kHzで、マグネットはMDR-Z7比で約2倍の大型化が謳われています[3][4]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]第三者の周波数特性測定では、ニュートラル目標に対し中低域が持ち上がり、上部中域のディップや高域の不規則さが確認され、透明性を下げる方向に働きます[1][2]。一方、メーカー仕様(4 Hz–100 kHz、56 Ω、98 dB/mW)は可聴帯域の偏差を改善する根拠にはなりません[3]。リラックス志向の音としては好まれる一方、測定事実に基づく精度重視の評価では中庸と判断します。
技術レベル
\[\Large \text{0.7}\]アルミコートLCP振動板、CCAWボイスコイル、フィボナッチパターングリル、4.4 mmバランス付属など、密閉型として妥当で手堅い実装です。磁気回路は初代比で約2倍とされ、駆動力向上を狙っています[3][4]。最新最先端ではないものの、設計の合理性は一定水準です。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.2}\]レビュー対象の現在の市場価格は82,500円(550 USD)想定です。ユーザー視点の機能(有線・密閉型)と測定性能で同等以上と判断できる代替はAKG K371で、Harmanターゲットに近い周波数特性と良好な測定結果が報告されています[5][6]。国内でも16,800円(約119.95 USD)程度で安定流通があります[7][8]。
計算(USD基準): 119.95 USD ÷ 550 USD = 0.218 → 0.2に丸め。
結論として、測定性能と機能が劣らないより低価格の手段が存在するため、Z7M2のCPは低い評価となります。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]ソニーはグローバルな保証と部品供給網を持ち、交換ケーブルなど保守性も一定水準です。地域差はあるものの一般的なサポート品質で、価格帯を考慮すると突出して高評価とまでは言えないため平均よりやや上の評価に留めます。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.3}\]100 kHzまでの広帯域訴求は聴覚上の有効性が確認されていない一方で、フィボナッチパターングリルや磁気回路の大型化といった要素は高域回折低減や駆動力向上といった合理的意図に基づくものです。ただし測定上の可聴帯域のトーンエラーが残るため、透明性重視の設計最適化とは言い難い状況です[1][3]。総じて低評価ではあるが“オカルト”水準ではないと判断します。
アドバイス
暖かくややダークな音調を好み、快適性重視でリスニングする方には適しています。一方で、正確性重視やコスト効率を求めるなら、AKG K371は測定上ニュートラルに近く、はるかに低コストで同等機能を得られます[5][7][8]。アイソレーション不要なら、良好に測定されたオープンバックも検討する価値があります。
参考情報
[1] In-Ear Fidelity (Crinacle), 「Sony MDR-Z7M2」(ヘッドホングラフDB)。https://crinacle.com/graphs/headphones/sony-mdr-z7m2/ ,2025年8月アクセス。
[2] In-Ear Fidelity – Headphone Graph Database(「Graphs 101」および測定リグ記載:GRAS RA0402、KB5000/KB5001)。https://crinacle.com/graphs/headphones/ ,2025年8月アクセス。
[3] Sony Support, 「MDR-Z7M2 Specifications」。https://www.sony.com/electronics/support/wired-headphones-headband/mdr-z7m2/specifications ,2025年8月アクセス。
[4] Sony Electronics(米国), 「MDR-Z7M2 製品ページ」(磁気回路大型化、フィボナッチグリルの説明)。https://electronics.sony.com/audio/headphones/headband/p/mdrz7m2 ,2025年8月アクセス。
[5] Rtings, 「AKG K371 Headphones Review」。https://www.rtings.com/headphones/reviews/akg/k371 ,2025年8月アクセス。
[6] Audio Science Review, 「AKG K371 Review (closed back headphone)」。https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/akg-k371-review-closed-back-headphone.19657/ ,2025年8月アクセス。
[7] Klarna価格集約, 「AKG K371」(米国最安付近:119.95 USD表示あり)。https://www.klarna.com/us/shopping/pl/cl94/5034829/Headphones/AKG-K371/ ,2025年8月アクセス。
[8] サウンドハウス, 「AKG / K371 密閉型モニターヘッドホン」商品ページ。https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/265809/ ,2025年8月アクセス。
(2025.8.20)