Sony SRS-X88

参考価格: ? 59850
総合評価
2.7
科学的有効性
0.3
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.5
信頼性・サポート
0.3
設計思想の合理性
1.0

2015年発売の90Wマルチルームスピーカー。LDAC対応とハイレゾ音源サポートを特徴とするが、THD性能と現在の入手性に課題あり

概要

Sony SRS-X88は2015年に発売された90W出力のプレミアムBluetoothスピーカーです。5つのドライバー(20mm スーパートゥイーター×2、40mm フルレンジ×2、69mm サブウーファー×1)とS-Master HXデジタルアンプを搭載し、Bluetooth・Wi-Fi・Ethernet・USB接続に対応しています。LDACコーデックとハイレゾ音源(192kHz/24bit、DSD対応)をサポートし、マルチルーム機能も備えています。当時としては先進的な機能を持つ製品でしたが、現在は生産終了となっています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.3}\]

THD性能に重大な問題があります。公式仕様によると、JEITA規格に基づく実用最大出力時のTHDが10%と記載されており、これは問題レベル(スピーカーで1%以上)を大幅に上回っています。このTHD 10%という数値は、現代の透明レベル(0.01%以下)と比較して極めて劣悪です。再生周波数帯域は50Hz-40,000Hzと記載されていますが偏差の詳細は不明、SNRやクロストーク等の重要指標も未公開です。可聴域での音質改善効果は限定的と判断されます。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

S-Master HXデジタルアンプとLDACコーデックの採用は技術的に評価できます。5ドライバー構成とパッシブラジエーターによる音響設計、マルチルーム機能の実装は2015年当時としては先進的でした。LDACは最大990kbpsの高ビットレート伝送を可能とするSony独自技術で、業界への技術的貢献度は高いと言えます。ただし、2025年の技術水準で評価すると、デジタルアンプ技術やワイヤレス接続機能は標準的なレベルに留まります。設計の独創性は認められるものの、現在では同等の機能を持つ製品が多数存在しています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.5}\]

元々の価格399USDに対し、同等機能を持つEdifier D32(199.99USD)が存在します。D32は60W RMS出力、LDAC対応、Wi-Fiマルチルーム機能、ハイレゾ音源対応を備えており、SRS-X88の主要機能をより低価格で実現しています。出力面ではSRS-X88の90W(実用最大出力)に対しD32は60W(RMS値)となりますが、測定手法の違いを考慮すると実用上の差は限定的です。計算式:199.99USD ÷ 399USD = 0.501、四捨五入で0.5となります。ただしSRS-X88は現在生産終了のため、中古市場での入手となり価格変動が大きい点に注意が必要です。同等以上の機能・性能をより安価に実現できる代替品が存在することから、コストパフォーマンスは平均以下と評価されます。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.3}\]

Sonyブランドとしての基本的な品質は期待できますが、2015年発売の製品であり現在は生産終了しています。公式サポートは限定的で、ファームウェア更新等の継続的なサポートは期待できません。中古市場での入手が主となるため、保証期間や修理サービスの利用は困難です。業界平均と比較して、現時点での信頼性・サポート体制は大幅に劣っています。新品での入手が困難な状況を考慮すると、購入後のサポートリスクは高いと判断されます。

設計思想の合理性

\[\Large \text{1.0}\]

ハイレゾ音源対応とLDACコーデック開発は科学的に音質改善に寄与する合理的なアプローチです。デジタルアンプ技術の採用、マルチルーム機能による利便性向上、複数の接続オプション提供は全て聴覚上の透明度向上や使用体験改善に貢献しています。当時のアナログ中心の設計から脱却し、デジタル信号処理を積極活用した設計思想は極めて先進的で合理的でした。特にLDAC技術は業界標準となり、他社製品でも採用されるなど、科学的根拠に基づいた技術革新として高く評価されます。設計の方向性は透明レベルの音質達成に向けた理想的なアプローチと言えます。

アドバイス

SRS-X88は2015年当時としては革新的な製品でしたが、現在購入を検討する場合は慎重な判断が必要です。最大の問題はTHD性能の劣悪さで、10%という数値は現代の基準では到底受け入れがたいレベルです。また生産終了により中古品のみの入手となり、サポートリスクも高いです。同等機能をより良い性能で実現するEdifier D32(199.99USD)等の現行製品を強く推奨します。D32は60W RMS出力ながらLDAC対応、Wi-Fiマルチルーム機能、ハイレゾ対応を備え、より合理的な選択肢です。SRS-X88のLDAC技術は素晴らしい革新でしたが、その恩恵は現在多くの製品で享受できるため、わざわざ旧製品を選ぶ必要はありません。音質を重視するなら、現代の測定基準をクリアした製品を選ぶべきです。

(2025.7.31)