Sony SS-AR2

参考価格: ? 1460000
総合評価
3.0
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.1
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.7

146万円の3ウェイ・フロアスタンディングスピーカー。Scan-Speak製カスタムドライバーと日本製メープル材バッフルを採用していますが、同等性能の競合機種と比較してコストパフォーマンスが低い製品です。

概要

Sony SS-AR2は、同社のAR(Acoustic Reality)シリーズに属する146万円のフロアスタンディングスピーカーです。4ドライバー・3ウェイ構成を採用し、デンマークのScan-Speak製カスタムドライバーを搭載しています。エンクロージャーは北欧産バーチ材パネルに2インチ厚の日本製メープル材バッフルを組み合わせ、戦略的ブレーシング構造により共振を抑制する設計となっています。42Hz-60kHz(±6dB)の周波数特性と89dB/2.83V/mの感度を公称値とし、Hi-Res Audio対応を謳う製品として位置づけられています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

測定結果において、周波数特性は42Hz-60kHzを公称していますが、実測では20Hz-20kHzにおいて±3dB以内の偏差を達成しており、スピーカーカテゴリとしては標準的な性能を示しています。感度は公称89dBに対し実測90.5dBと若干高く、効率面で優秀です。高調波歪率は1%未満、S/N比は80dB以上を達成しています。ただし、インピーダンス特性に問題があり、公称4Ωに対し最低値2.6Ω(110Hz)まで低下し、80Hzで4Ω/47°、700Hzで4Ω/+43°の電流を要求する特性を示します。この特性は一般的なアンプでは駆動困難な場合があり、4Ω対応の高品質アンプが必要となります。60kHzまでの超高域再生は可聴範囲を超えており、科学的な音質向上効果は期待できません。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

Scan-Speak製カスタムドライバーの採用により、一定の技術水準を保持しています。6.5インチアルミニウム・ウーファー2基、5インチ処理紙コーン・ミッドレンジ、1インチファブリック・ドーム・ツイーターの組み合わせは合理的な選択です。クロスオーバーは300Hzと4kHzの2点で設定され、複数のスロープを採用しています。エンクロージャー構造では2インチ厚メープル材バッフルと戦略的ブレーシングにより、共振抑制を図っています。ただし、これらの技術は業界標準的なアプローチであり、革新的な要素は限定的です。インピーダンス特性の最適化不足も技術的課題として指摘されます。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.1}\]

146万円の価格設定に対し、同等以上の性能を持つ競合製品として、Klipsch RP-8000F II(20万円)が比較対象となります。RP-8000F IIは35Hz-25kHzの周波数特性(SS-AR2より低域が7Hz深い)、98dBの感度(9dB高い)、高調波歪率1%未満など、測定性能で同等以上を達成しながら大幅に安価で提供されています。コストパフォーマンスは20万円 ÷ 146万円 ≈ 0.14で算出され、スコアは0.1となります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

Sonyは世界的な大手メーカーとして、充実したサポート体制と保証制度を提供しています。修理部品の供給体制も長期間維持されており、製品の信頼性面では安心感があります。ただし、AR2は限定生産モデルであり、将来的な部品供給に関する不確実性が存在します。また、カスタムScan-Speakドライバーの交換修理コストは高額になる可能性があります。全体として、メーカーサポートの信頼性は業界平均を上回る水準にあります。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.7}\]

Hi-Res Audio対応を謳う60kHz再生能力は、可聴域を大きく超えており、科学的な音質向上効果は期待できません。一方、Scan-Speak製ドライバーの採用や適切なクロスオーバー設計は合理的なアプローチです。ただし、インピーダンス特性の最適化不足により、アンプ選択に制約が生じる設計は問題があります。伝統的なパッシブ・スピーカー設計を採用しており、現代的なDSP技術やアクティブ設計の恩恵を受けていません。測定性能の改善に向けた方向性が不十分です。

アドバイス

Sony SS-AR2の購入を検討される場合、Klipsch RP-8000F II(20万円)との比較検討を推奨します。RP-8000F IIは大幅に安価ながら測定性能で同等以上を達成しており、コストパフォーマンスが高い選択肢です。SS-AR2もScan-Speak製カスタムドライバーの品質を評価される場合に検討可能ですが、全体システムのコストを考慮する必要があります。購入する場合は4Ω対応の高品質アンプが必要となるため、システム全体のコストも考慮してください。Hi-Res Audio対応という宣伝文句に惑わされず、可聴域における実際の音質改善効果を冷静に評価することが重要です。

(2025.8.7)