概要

SS-CS3はソニーCoreシリーズの3ウェイ・フロアスタンディングです。デュアル5インチウーファー、1インチツイーター、0.75インチのスーパーツイーターを備え、カタログ値は45 Hz–50 kHz、6オーム、感度88 dB（2.83 V/1 m）です。1本売りの製品です。 [2][3]

本レビューではコストパフォーマンス計算をUSD基準で行います（参考として国内実売の円相場を併記可能ですが、算出はUSDで統一します）。

科学的有効性

\[\Large \text{0.3}\]

第三者のKlippel NFS（CTA-2034）測定で中域に多数の共振が確認され、一般的なAVRのオートEQでは十分に補正できないと報告されています。歪みやコンプレッションは概ね良好で、駆動性（6Ω・約88 dB）も平均的ですが、科学的有効性としては中域挙動が制約となります。 [1][3]

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

予算帯としては珍しい3ウェイ＋スーパーツイーター構成で広帯域化の意図は見られます。一方で実装は受動クロスオーバーなど常識的で、測定結果からは設計意図が完全にはクリーンな音響挙動に結実していません。 [1]

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.6}\]

対象価格（分母）：459.98 USD／ペア（229.99 USD／本 ×2。米国の代表的実売）。[2]
同等以上の最安比較対象（分子）：ELAC Debut 2.0 B5.2 269 USD／ペア。ユーザー機能（ステレオL/Rペア）は同等で、指向性の滑らかさなど測定面で有利、SS-CS3のような狭帯域の中域共振は報告されていません。 [1][4][5]
CP計算：269 ÷ 459.98 = 0.585 → 0.6（小数第1位で丸め）。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

広い販売網と受動設計により所有リスクは低いです。大規模な不具合の報告は見当たらず、保証・サポート体制もカテゴリーとして一般的です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.5}\]

非科学的主張はなく、一般的な音響工学に沿った方針です。可聴域外の拡張（50 kHzスーパーツイーター）など実用性の薄い要素はあるものの、総じて平均的に合理的と評価します（他項目の点数に影響されない独立評価です）。

アドバイス

タワー型にこだわる場合は手動のピンポイントEQと設置最適化を前提にご検討ください（追加コストと手間が発生します）。多くの方には、良質なブックシェルフ＋サブウーファーの構成のほうが、近い予算で測定上も実運用上も良い結果を得やすいです。 [1][4]

参考情報

[1] Erin’s Audio Corner「Sony SS-CS3 Tower Speaker Review」2024-01-14。Klippel NFS/CTA-2034；中域共振とオートEQの限界。https://erinsaudiocorner.com/loudspeakers/sony_sscs3_tower/
[2] Best Buy「Sony Core Series Dual 5” 3-Way Floorstanding Speaker (Each) — SSCS3」1本売りの代表的価格情報（229.99 USD／本の基準）。https://www.bestbuy.com/site/sony-core-series-dual-5-3-way-floorstanding-speaker-each-black/5926456.p
[3] Sony「Speaker System — User’s Guide (SS-CS3/CS5/CS8)」感度88 dB（2.83 V/1 m）。https://www.sony.com/electronics/support/res/manuals/4535/45354161M.pdf
[4] Erin’s Audio Corner「ELAC Debut 2.0 B5.2 Speaker Review」2022-09-04。Klippel NFS/CTA-2034。https://erinsaudiocorner.com/loudspeakers/elac_db52/
[5] Crutchfield「ELAC Debut 2.0 B5.2（ペア）」269 USD／ペアの現行価格。https://www.crutchfield.com/p_970DB52/ELAC-Debut-2-0-B5-2.html

(2025.8.16)