STAX SR-009S

参考価格: ? 455400
総合評価
3.0
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.9
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.4

STAXの最高峰モデルの一つであるSR-009Sは、優れた測定性能を示すものの、455,400円の価格設定によりコストパフォーマンスに劣る静電型ヘッドホン

概要

STAX SR-009Sは、日本の静電型ヘッドホン専門メーカーSTAXが開発した最高峰モデルの一つです。同社独自のプッシュプル型静電ドライバーを採用し、5-42,000Hzの周波数特性と145kΩのインピーダンスを持ちます。先代SR-009から改良されたMLER 2電極と超薄型エンジニアリングプラスチックフィルム振動膜を搭載し、測定結果では非常に低い歪率と優れた周波数特性を実現しています。専用静電型アンプが必要で、市場価格は455,400円です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

SR-009Sは測定結果において透明レベルに近い性能を達成しています。THD+Nは0.01%以下の極めて低い値を示し、Stereophileの測定では「測定した中で最高」と評価されています。周波数特性は5-42,000Hzで±3dB以内に収まり、特に中高域では±1dB以内の優秀な平坦性を示します。S/N比は100dB以上を確保し、クロストークも-70dB以下と透明レベルを達成しています。ただし、6kHz付近に内部反射による鋭いディップが測定されており、完全な透明性には若干の課題があります。

技術レベル

\[\Large \text{0.9}\]

MLER 2(Multi-Layer-Elect-Rods 2)電極技術は業界最高水準の設計です。電極開口部のエッジを滑らかに加工することで空気抵抗を削減し、金メッキ処理により導電性を向上させています。超薄型エンジニアリングプラスチックフィルム振動膜は優れた過渡特性を実現し、プッシュプル型静電ドライバーの設計は他社では実現困難な技術レベルです。580V DCバイアス電圧制御と101dB/100V r.m.sの感度設計も高度な技術力を示しています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

SR-009Sの市場価格455,400円に対し、同等以上の測定性能を持つ競合製品として、Sennheiser HD 800 S(182,800円)が存在します。最も安価な同等性能製品であるHD 800 Sとの比較では、182,800円÷455,400円=0.40となります。静電型専用アンプ(最安でもSRM-D10が約134,000円)が必要なため、システム全体のコストは約589,400円となり、HD 800 Sと高品質アンプの組み合わせ(約332,800円)と比較すると、コストパフォーマンスは中程度の評価となります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

STAXは静電型ヘッドホン専門メーカーとして50年以上の実績を持ち、製品保証は標準的な1年間です。静電型ドライバーの特性上、湿度管理が重要であり、適切な使用環境では長期間の安定動作が期待できます。ただし、専用アンプが必要なため、システム全体での故障リスクは通常のヘッドホンより高くなります。国内での修理対応は良好ですが、海外でのサポート体制は限定的です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

静電型ドライバー技術は測定性能の向上に寄与する合理的なアプローチです。しかし、専用アンプが必要な設計は利便性を大幅に損ない、同等の測定性能を持つダイナミック型ヘッドホンと汎用アンプの組み合わせで代替可能であることを考慮すると、専用機器としての必然性は低いと言えます。580VのDCバイアス電圧は安全性の観点でも課題があり、現代的な設計としては疑問が残ります。

アドバイス

SR-009Sは優れた測定性能を示す製品ですが、コストパフォーマンスには課題が残ります。同等の音質を求めるなら、Sennheiser HD 800 S(182,800円)と高品質アンプ(約150,000円)の組み合わせで、総コスト332,800円でSR-009Sシステムコスト589,400円の約77%の費用で同等の性能を得られます。静電型システムはダイナミック型代替案より約77%高いコストとなります。静電型技術そのものへの興味や、STAXブランドへの特別な思い入れがある場合を除き、ダイナミック型の方が優れた価値を提供します。静電型技術を重視し、高いシステムコストを受け入れられる愛好家に適した製品です。

(2025.7.18)