Steinberg UR12
ヤマハD-PREプリアンプ搭載のエントリーレベルUSBオーディオインターフェース。低価格で基本的な録音機能を提供するが、メーカー公称値を下回る測定結果
概要
Steinberg UR12は、エントリーレベルの録音用途向けに設計されたコンパクトな2×2 USBオーディオインターフェースです。ヤマハのClass-A D-PREマイクプリアンプと24bit/192kHz対応を特徴とし、金属筐体の堅牢な設計で、宅録や配信などの基本的な録音に適します。XLRマイク入力(ファンタム電源対応)×1、Hi-Z楽器入力、ステレオRCA出力、ダイレクトモニタリング対応のヘッドホン出力を備えます。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]第三者の測定では本機の性能はクラス相応であることが示されています。RightMark Audio Analyzerのループバック試験では、ダイナミックレンジ97.3 dB(A)、THD 0.0005%(−3 dBFS)、周波数特性は44/48 kHz動作で(40 Hz–15 kHz)±0.00 dBと実質フラットです。一方、別ソースのコミュニティ測定ではマイク入力の最大ゲイン時ダイナミックレンジがおよそ65.5 dB(A)、フルスケール近傍で0.1%超の歪みが報告されており、クリップ手前では限界が見られます。総合的に、本機はエントリー用途での透明性を満たす一方、完全な高性能帯には届かない中間的水準です。
技術レベル
\[\Large \text{0.5}\]USB 2.0/24bit/192 kHz対応、Class-A D-PRE搭載、金属筐体など、価格帯相応の標準的な設計です。特筆すべき新規性や先進機構はなく、堅実な実装といえます。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.9}\]比較対象はBehringer UMC202HD(2×2、24bit/192 kHz、MIDAS設計プリアンプ×2)。販売店スペックではダイナミックレンジ100–110 dB(A)が掲示されており、機能・基礎的測定性能でUR12に劣りません。価格は米国実売の代表値で比較し、86.90 USD ÷ 99.90 USD = 0.870 → 0.9。定義に従い、本機のコストパフォーマンスは0.9です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Steinberg/Yamahaのドライバー提供とグローバルサポートの恩恵を受けます。金属筐体で堅牢、アナログ回路の単純さも安定性に寄与します。公式寸法・重量は159 × 144 × 47 mm、850 gです。保証は標準的で、上位機に見られる特別なサポートはありません。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]実用的機能と測定ベースの設計を重視し、コストは機能へ配分。Cubase AI同梱は実利的です。革新性は限定的ながら、堅実な方針です。
アドバイス
Steinbergのソフト連携やシンプルなI/Oを重視する方に適しています。価格重視なら、UMC202HD(米国実売 約86.90 USD)はUR12(99.90 USD)より低価格でほぼ同等の用途を満たし、より高い価値を提供します。さらに上位性能を望む場合は、上位機種への投資を検討すると有意な改善が見込めます。
参考情報
- Steinberg — UR12 製品ページ: https://www.steinberg.net/audio-interfaces/ur12/
- Audio Science Review フォーラム — “More Steinberg UR12 Black measurements”: https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/more-steinberg-ur12-black-measurements.53569/
- ProSound (ixbt) — RightMark Audio Analyzer 試験: https://prosound.ixbt.com/interfaces/steinberg/ur12/2444.shtml
- Behringer — UMC202HD 製品ページ: https://www.behringer.com/product.html?modelCode=0805-AAR
(2025.9.2)