Sun Valley SV-192S-DSD

参考価格: ? 232500
総合評価
1.7
科学的有効性
0.4
技術レベル
0.3
コストパフォーマンス
0.1
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.4

2008年発売のBurr-Brown DSD1796チップと真空管出力段を採用した日本製DAC、現代の低価格代替品に大幅に劣る性能

概要

Sun Valley SV-192S-DSDは2008年に発売された日本製デジタル・アナログコンバータで、Burr-Brown DSD1796 DACチップと12AU7/ECC82真空管を使用したバッファステージを特徴としています。24ビット/192kHzまでの高解像度音声信号処理能力を持ち、DACおよびデジタル・デジタルアップサンプリング機能を備えています。本機は超高解像度デジタルオーディオ処理の初期の試みを代表し、真空管と半導体のハイブリッド設計思想でオーディオファイル市場をターゲットとした製品です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.4}\]

SV-192S-DSDは現代の基準では問題のある性能を示します。本機の当該モデル個体に対する信頼できる第三者測定は確認できないため、ここではメーカー公表仕様に基づく暫定記載とします:Burr-Brown DSD1796 DACチップ、12AU7/ECC82×2による真空管バッファ、USB入力は32k/44.1k/48kの16ビット、S/PDIF/AES入力は最大24ビット/192kHz対応などです[4][6]。一方で現代の低価格DACは可聴帯域でフラットな周波数特性、低歪み・低ノイズ、高ダイナミックレンジを達成しており、例えばSchiit Modi+は独立測定で可聴帯域フラットかつ高SNRが示されています[1]。本機の真空管バッファは透明性に資する実証データがなく、歪み/ノイズの増加要因となることが想定されます。現代の低価格DACが透明に達成する可聴性閾値を超えることを示す第三者データは確認できません。

技術レベル

\[\Large \text{0.3}\]

本設計は2008年当時の技術を採用していますが、現在の基準では時代遅れのアプローチを表しています。Burr-Brown DSD1796はリリース時でも中級チップであり、同世代内でより優れた実装に置き換えられています。SRC4792アップサンプリングチップは多くの同時代製品で利用可能な基本機能を提供します。真空管出力段は技術的進歩よりもヴィンテージ設計思想への固執を表しています。包括的なI/O構成は工学的能力を示していますが、全体的な実装は革新的な設計よりも業界標準のアプローチを反映しています。現代のエントリーレベルDACは大幅により高度な処理能力と優れた測定性能を組み込んでいます。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.1}\]

現在の市場参考価格は中古で約1,550 USD(Reverb掲載)で、国内中古でも10万〜11万円台の例が見られます[3][5]。機能・測定性能で同等以上のSchiit Modi+(129 USD)は可聴帯域フラットな周波数特性、高SNR、低歪みを示し、ユーザー向け機能(USB/光/同軸入力、アナログ出力)も同等です[1][2]。コストパフォーマンス計算(USD基準で統一):129 USD ÷ 1,550 USD = 0.083 → 0.1。よって本機のCPは極めて低評価となります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

Sun Valley Audioは主に日本の販売代理店を通じてサポートする限定的なグローバル展開を維持しています。真空管実装では定期的な交換が必要で、継続的なメンテナンスコストとソリッドステート代替品にはない潜在的な故障点を導入します。標準保証適用ですが、国際サポートインフラは不明です。2008年の設計は現代のファームウェアアップデート能力に先立つため、長期的な機能拡張を制限します。利用可能な情報に基づく製造品質は適切に見えますが、包括的評価のための長期信頼性データは利用できません。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

設計思想は混合した合理性を反映しています。高解像度音声フォーマットに対応するデジタル処理能力は2008年の先進的アプローチを示しています。しかし、真空管出力段実装は測定に基づく最適化に矛盾し、実証された利益なしに測定可能な劣化を導入します。真空管着色による「アナログの温かさ」への重点は忠実度最適化よりも主観的設計選択を表しています。包括的I/O構成は実用的考慮を示していますが、全体的なアプローチは測定された性能最適化よりもヴィンテージ美的魅力を優先し、同時代の測定最適化設計と比較して劣った結果をもたらしています。

アドバイス

潜在的購入者は大幅に低いコストで優れた代替品が存在するため、この製品を避けるべきです。Schiit Modi+は価格の約25分の1で透明な性能を提供し、Topping D90SEのような製品は類似の予算配分で参考レベル性能を提供します。SV-192S-DSDの2008年時代の技術と真空管ベースの着色は現代の実装に対して利点を提供しません。ヴィンテージ美観を求めるユーザーは関与する実質的な性能妥協を認識すべきです。高解像度デジタルオーディオ変換を必要とするユーザーは忠実度を主観的音響署名のために妥協する時代遅れハイブリッド実装を追求するよりも測定透明性を提供する同時代設計を優先すべきです。

参考情報

[1] Schiit Modi+ DAC Review, Audio Science Review, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/schiit-modi-dac-review.39435/, 2025年8月13日アクセス, 測定(ダッシュボード/FR/SNR等) [2] Schiit Audio 製品ページ(Modi), https://www.schiit.com/products/modi-plus, 2025年8月13日アクセス, 価格 129 USD [3] Sunvalley SV-192s Digital to Analog Converter DAC in Excellent Condition(中古出品), Reverb, https://reverb.com/item/39993945-sunvalley-sv-192s-digital-to-analog-converter-dac-in-excellent-condition, 2025年8月13日アクセス, 価格参考(USD) [4] SV-192S/DSD SUNVALLEY(売約済ページ), ハイファイ堂, https://www.hifido.co.jp/sold/18-15042-06873-00.html, 2025年8月13日アクセス, 仕様(入力/DACチップ/真空管)記載 [5] サンバレー sunvalley SV-192S/dsd D/Aコンバーター(中古・販売済), アフロオーディオ, https://afroaudio.jp/products/detail.php?product_id=3843, 2025年8月13日アクセス, 国内中古価格例(円) [6] SV-192S 中古品(メーカー資料PDF), ザ・キット屋, https://www.kit-ya.jp/user_data/20201023_SV-192S.pdf, 2025年8月13日アクセス, 仕様(DSD1796, 12AU7/ECC82×2, I/O)

(2025.8.13)