TEAC AX-505

参考価格: ? 140000
総合評価
3.3
科学的有効性
0.6
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.4
設計思想の合理性
0.8

Hypex Ncoreモジュール搭載の70W(8Ω)/130W(4Ω)インテグレーテッドアンプ。同等以上の機能・性能を持つ競合製品の中では最安価格を実現し、優れたコストパフォーマンスを提供する。

概要

TEAC AX-505は、オランダのHypex社製Ncoreパワーアンプモジュールを採用した70W+70W(8Ω)、130W+130W(4Ω)のインテグレーテッドアンプです。TEACが1953年に創業以来培ってきたオーディオ技術と、現代的なクラスDアンプ技術を組み合わせた製品として位置づけられています。MUSES8920オペアンプの採用、XLRバランス入力の搭載、パッシブ冷却による無音動作など、コンパクトなA4サイズの筐体に多様な機能を詰め込んだ設計が特徴です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

Hypex Ncoreモジュールは一般的に優秀な測定値を示すことが知られています。本製品の公称仕様では、THD 0.002%(8Ω、1kHz、12.5W)、S/N比 110dB(8Ω、1kHz、IHF-A)となっています。MUSES8920オペアンプも低歪率で知られる部品です。しかし、本製品の具体的な測定データが公開されていないため、カタログスペックや使用部品からの推定に留まります。Ncoreモジュールの特性から、周波数特性20Hz-20kHz±0.5dB、THD+N 0.01%以下、SNR 105dB以上の透明レベルに近い性能は期待できますが、実測値による確認が必要です。透明レベルをクリアする可能性は高いものの、具体的な検証データの不足により平均よりやや高い評価となります。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

採用されているHypex Ncoreモジュールは確立された高性能技術ですが、TEACによる独自設計ではありません。MUSES8920オペアンプも市販の高性能部品であり、特に革新的な技術ではありません。XLRバランス入力やヘッドホンアンプの搭載は標準的な機能実装です。A4サイズでの小型化設計は評価できますが、パッシブ冷却によるクラスDアンプの無音動作は現代では一般的です。全体として業界平均水準の技術レベルであり、既存技術の適切な組み合わせによる製品と評価されます。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

TEAC AX-505の日本市場価格は約140,000円です。同等以上の機能・性能を持つ競合製品として、NAD C 389(130W出力、XLRバランス入力、ヘッドホンアンプ搭載、約185,000円)があります。NAD C 389は8Ω負荷で130Wの出力を持ち、TEAC AX-505の70W(8Ω)を上回る性能を提供します。同等以上の機能・性能を持つ製品の中で最安はTEAC AX-505自体となるため、コストパフォーマンススコアは1.0となります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.4}\]

TEACは1953年創業の老舗オーディオメーカーですが、近年は業務用機器中心の展開となっており、民生用オーディオ製品のサポート体制は限定的です。保証期間は標準的な1年間ですが、修理サービスやファームウェア更新などの長期サポートについての情報が不足しています。Hypex Ncoreモジュール自体の信頼性は高いものの、製品全体としてのサポート体制は業界平均を下回ると判断されます。新興メーカーレベルの不確実性があります。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

Hypex Ncoreモジュールの採用は測定性能向上の観点から極めて合理的です。クラスDアンプによる高効率化とA4サイズでの小型化設計も現代的で実用的なアプローチです。MUSES8920オペアンプの採用も低歪率実現において科学的に有効です。パッシブ冷却による無音動作の実現は、測定環境や静粛性を重視するユーザーにとって実用的な利点となります。既存の高性能技術を適切に組み合わせ、コンパクトな筐体で高性能を実現する設計思想は、透明レベルの音質達成という科学的目標に合致した合理的なアプローチです。

アドバイス

TEAC AX-505は、Hypex Ncoreモジュール搭載でXLRバランス入力とヘッドホンアンプを備えた製品として、同等以上の機能・性能を持つ競合製品の中では最も安価な選択肢となっています。NAD C 389(約185,000円)と比較すると、約45,000円の価格優位性があります。コンパクトなA4サイズの筐体で130W(4Ω)の出力を実現し、科学的に透明レベルに近い測定性能が期待できる製品です。この価格帯でHypex Ncore技術とXLRバランス入力を求めるユーザーには合理的な選択肢となります。ただし、より高出力が必要な場合はNAD C 389の検討も推奨されます。

(2025.8.5)