Telefunken ELA M 251E

参考価格: ? 1799340
総合評価
1.8
科学的有効性
0.3
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.1
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.3

1960年代設計を忠実に再現した真空管コンデンサーマイクロフォン。工作精度は高い一方、コストパフォーマンスは極めて低く、技術方向性も保守的です

概要

Telefunken ELA M 251Eは、1960〜1965年の名機を現代に再現したラージダイアフラム真空管コンデンサーマイクです。自社製CK12系カプセル、Haufe T14/1トランス、6072A真空管を採用し、単一指向性・無指向性・双指向性を切替可能です。公式仕様は20 Hz–20 kHz(±3 dB)、感度17 mV/Pa、THD<0.2%(1 kHz/1 Pa)、S/N 85 dBA、等価雑音9 dBA、最大SPL 130 dB(1% THD)です [1]。オリジナルの生産台数は3,700台未満という推定が一般に引用され、現在の市場価格は11,995 USDです [3]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.3}\]

透明性という観点では境界的です。周波数特性は20 Hz–20 kHz(±3 dB)で問題閾値、最大SPLは130 dB(1% THD)、THDは<0.2%(1 Pa)、S/Nは85 dBA、等価雑音は9 dBA(いずれもメーカー公称)です [1]。現行のソリッドステート多機能LDCと比べると、歪みと線形性で不利になりやすい値です。独立ベンチ計測は未確認のため、本節は公式仕様に基づく暫定評価とし、公開測定が出揃えば更新します [1]。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

エッジ終端CK12系カプセルやHaufe T14/1トランスなど、実装の精度と職人技は高水準です [1]。一方で目標は「再現」であり、新規の音響・電子・DSP的進展は限定的です。総合して平均よりやや上の評価に留めます。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.1}\]

市場価格 1,799,340円(11,995 USD) [3] に対し、AKG C414 XLS はユーザー視点で 等価以上:9パターン対応(対3パターン)、20 Hz–20 kHz、等価雑音6 dB-A、S/N 88 dB-A、最大SPL 140–158 dB(パッド時)(IEC 60268-4)を達成します [4]。国内相場は 89,800円(1,199 USD) 程度で確認できます [4][5]。
計算:1,199 ÷ 11,995 = 0.100.1
結論:価格差の大半はヴィンテージ系設計と製造コストに由来し、測定上の優位には結びつきません。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

Telefunkenの保証はカプセル・真空管が90日、アンプ/電源は1年です [2]。筐体構造は堅牢ですが、真空管は消耗部品であり長期運用では交換費用が発生します。体制は整っているものの内容は業界平均的で、評価は中間とします。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.3}\]

本機は測定透明性よりも歴史的キャラクター再現を優先しています。費用配分もビンテージ構成要素の再現に重きがあり、FRや雑音など客観指標の改善には直結していません。現代の透明志向マイクと比べると保守的な方向性です [1][4]。

アドバイス

ヴィンテージ系チューブの質感が制作上どうしても必要な場合にのみ検討すべきです。汎用的で測定面の優位を求めるなら、AKG C414 XLS がはるかに低コストで広い指向性選択と低雑音・高SPLを提供します [4][5]。近代的な業界標準を求める場合は Neumann U 87 Ai も候補になりますが、それでも本機より大幅に安価です [6]。

参考情報

[1] Telefunken Elektroakustik. “ELA M 251E.” https://www.telefunken-elektroakustik.com/product/ela-m-251e/(参照日 2025-08-25)。主仕様:FR 20 Hz–20 kHz(±3 dB)、感度17 mV/Pa、THD<0.2% @1 kHz/1 Pa、S/N 85 dBA、等価雑音9 dBA、最大SPL 130 dB(1% THD)。
[2] Telefunken Elektroakustik. “Product & Warranty Registration.” https://www.telefunken-elektroakustik.com/warranty/(参照日 2025-08-25)。カプセル/真空管90日、アンプ/電源1年。
[3] Sweetwater. “Telefunken ELA M 251E Large-diaphragm Tube Condenser Microphone.” https://www.sweetwater.com/store/detail/ELAM251E–telefunken-ela-m-251e-large-diaphragm-tube-condenser-microphone(参照日 2025-08-25)。市場価格11,995 USD、オリジナル台数の一般的記載。
[4] AKG. “C414 XLS & C414 XLII カタログ(IEC 60268-4).” https://www.akg.com/on/demandware.static/-/Sites-masterCatalog_Harman/default/dw4bf1cc65/pdfs/AKG_CutSheet_C414%26C414XLII_072516.pdf(参照日 2025-08-25)。等価雑音6 dB-A、S/N 88 dB-A、最大SPL 140–158 dB(パッド時)。
[5] B&H Photo. “AKG C414 XLS Large-Diaphragm Multipattern Condenser Microphone.” https://www.bhphotovideo.com/c/product/676494-REG/AKG_3059Z00050_C_414_XLS_Large.html(参照日 2025-08-25)。価格1,199 USD。
[6] Neumann. “U 87 Ai – Studio Microphone.” https://www.neumann.com/en-us/products/microphones/u-87-ai(参照日 2025-08-25)。

(2025.8.25)