Telefunken U-47
ヴィンテージの魅力を持つ1947年設計の伝説的チューブマイクですが、現代基準では測定性能に課題があります
概要
Telefunken U-47は、戦後にNeumannが設計・製造した大型ダイアフラム真空管コンデンサーマイクの忠実な再現モデルです(当時はTelefunkenが一部市場で販売代理を担い、Telefunkenバッジ個体も存在します)[4]。本機はM7カプセル、VF14K管、BV8トランスを採用し、カーディオイド/オムニの切替に対応します[1]。歴史的意義は大きい一方、現代の透明性指標では仕様が控えめです。
科学的有効性
\[\Large \text{0.3}\]メーカー公称値では、THD(アンプ部)1kHzで0.3%未満、S/N比85 dBA、周波数帯域20 Hz–20 kHz(±3 dB)、セルフノイズ9 dBA、最大SPL 127 dB(1% THD)[1]。複数項目が透明性の目安に対して境界〜問題レベルに位置し、客観的な原音忠実度は限定的です。独立第三者の詳細測定は乏しく、現時点ではメーカー公称値に基づく評価です[1]。
技術レベル
\[\Large \text{0.2}\]本機は1940年代の構成(真空管アンプ、トランス結合、ポイント・トゥ・ポイント配線)を意図的に踏襲しています[1]。職人的品質は高いものの、最新技術の導入や測定値の更新を狙う設計ではありません。結果として技術的先進性は低評価です。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.0}\]直販価格 1,499,250円(9,995 USD)[1]に対し、同等以上の機能(大口径+マルチパターン)と優れた測定値を備える安価な代替が存在します。例:RØDE NT2-A はセルフノイズ7 dBA、S/N 87 dB、最大SPL 147 dBの公称値を持ち[2]、国内実売は 58,000–66,800円程度を確認しました[3]。等価性メモ: マルチパターン対応、20 Hz–20 kHz帯域、より低ノイズ・高SPLにより、一般的なスタジオ用途で同等以上の測定性能と判断できます[2]。CP計算(最安同等以上 ÷ 対象価格): 58,000円 ÷ 1,499,250円 = 0.0387。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Telefunken Elektroakustikは製品登録により保証延長(カプセル/真空管は1年、アンプ/電源は4年まで)を提供し、サービスセンターと技術資料を公開しています[5]。回路はシンプルで整備性は高い一方、真空管など消耗部品の維持が必要で、ソリッドステート機と比べ運用負担は増します。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.2}\]本機の価値はヴィンテージの再現に置かれており、測定上の透明性向上を目的とした設計最適化ではありません。真空管やトランスへの投資は音色的特徴を生む反面、科学的に確認できる忠実度の改善には結びつきにくく、合理性評価は低くなります。
アドバイス
ヴィンテージの質感や歴史的再現性を明確に求める場合のみU-47を選ぶ意義があります。原音忠実度を優先するなら、マルチパターンの現代的コンデンサーがはるかに低価格で優れた測定値を示します。例えばRØDE NT2-A(国内約58,000–66,800円)[2][3]。より上位ではNeumann TLM 107(自己雑音10 dB-A、5パターン、約1,495 USD)も検討に値します[6][7]。
参考情報
[1] Telefunken Elektroakustik, “U47 — Technical Specifications & Pricing,” https://www.telefunken-elektroakustik.com/product/u47/, 2025年8月25日アクセス(タイプ/パターン、20 Hz–20 kHz ±3 dB、THD <0.3%@1kHz 1Pa(アンプ)、S/N 85 dBA、セルフノイズ9 dBA、最大SPL 127 dB、9,995 USD価格)
[2] RØDE Microphones, “NT2-A Instruction Manual (PDF),” https://recordinghacks.com/pdf/rode/nt2-a_product_manual.pdf, 2025年8月25日アクセス(セルフノイズ7 dBA、S/N 87 dB、最大SPL 147 dB、マルチパターン)
[3] サウンドハウス, “RODE / NT2-A,” https://www.soundhouse.co.jp/en/search/index?i_type=a&search_all=RODE+nt2a, 2025年8月25日アクセス(国内実売価格の代表例)
[4] Neumann, “U 47 — Switchable Condenser Microphone (History),” https://www.neumann.com/en-us/products/historical/u-47, 2025年8月25日アクセス(Neumannが設計・製造、Telefunkenは販売代理)
[5] Telefunken Elektroakustik, “Product & Warranty Registration,” https://www.telefunken-elektroakustik.com/warranty/, 2025年8月25日アクセス(保証期間と登録)
[6] Neumann, “TLM 107 — Studio Microphone,” https://www.neumann.com/en-us/products/microphones/tlm-107, 2025年8月25日アクセス(自己雑音10 dB-A、5パターン)
[7] Sweetwater, “Neumann TLM 107 Large-diaphragm Condenser Microphone,” https://www.sweetwater.com/store/detail/TLM107–neumann-tlm-107-large-diaphragm-condenser-microphone-nickel, 2025年8月25日アクセス(米国実売価格の代表例)
(2025.8.25)