Topping E4x4 Pre

参考価格: ? 39900
総合評価
2.7
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
0.8
信頼性・サポート
0.3
設計思想の合理性
0.3

メーカー公表値は優秀ですが、第三者測定が乏しく信頼性面にも懸念が残るUSBオーディオインターフェースです。

概要

Topping E4x4 Preは、プロ用途を意識した4入力4出力のUSBオーディオインターフェースです。24bit/192kHz対応、デュアルUSB-C、48V対応のUltra-linearマイクプリ×4、ゼロレイテンシーのハードウェア・モニタリング、各チャンネルのLEDメーターを備えます [1][2]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

メーカー公表(24bit/96kHz)では、マイク入力EIN −130.5 dBu、THD+N −110 dB(0.0003%)、ダイナミックレンジ115 dB、S/N 115 dB、周波数特性20 Hz–40 kHz(±0.2 dB)。ライン入力THD+N −107 dB、ライン出力THD+N −100 dB(0.001%)/SNR 115 dB、ヘッドフォン出力THD+N −100 dB、最大580 mW×2@32Ω(THD+N<1%)です [1]。これらは透明性の目安である約105 dB DRを十分に上回ります。E4x4 Preの包括的な第三者測定レビューは確認できなかったため、規定に従い0.1を減点しています。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

判断基準の明示:

  • 信号経路: 自社開発Ultra-linearマイクプリ、INST切替、48 Vファントム、NFCA-LEヘッドフォン段を採用 [1]。
  • I/Oとモニタリング: XLR/TRSコンボ×4の入力、バランスTRSライン出力×4、ハードウェアのダイレクトモニターとLEDメーター [1][2]。
  • 接続・電源: デュアルUSB-C(データ+補助電源)、ドライバー/コントロールソフト提供 [2]。

いずれも現行クラスの標準装備で、変換方式やクロック、保護回路、ルーティングの面でブレークスルーは見当たりません。よって中間評価です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.8}\]

比較対象(同等以上の透明性を満たす4×4)MOTU M4で価格は220 USD
数値で「同等以上」を示す具体比較:

  • マイクプリEIN(低いほど良い)
    • E4x4 Pre: −130.5 dBu(A-wt, 150 Ω)[1]
    • MOTU M4: −129 dBu(公称)[3]
    → EINはE4x4 Preが1.5 dB良好。どちらも透明クラス。

  • ライン出力ダイナミックレンジ(高いほど良い)
    • E4x4 Pre: 115 dB(A-wt)[1]
    • MOTU M4: 120 dB(TRS出力で公称/測定)[3]
    → 出力DRはM4が5 dB優位。

  • 第三者検証の有無
    • E4x4 Pre: 包括的第三者測定は未確認。
    • MOTU M4: 独立測定レビューが存在し“透明クラス”の性能が確認されています [4]。

価格に基づく評価
M4 220 USD、E4x4 Pre 266 USD。計算は 220 ÷ 266 = 0.827 で0.8
結論として、M4はより安価で、少なくとも出力DRで優位、EINも実質同等レンジで独立測定もあるため、E4x4 Preのコスパ評価は0.8に留めます。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.3}\]

判断根拠:

  • 事例: ヘッドフォン損傷の恐れでL30に公式告知と交換対応 [5]。PA5では樹脂封止モジュール起因の故障が広く報告され、コミュニティ主導の交換モジュール情報も共有 [6]。
  • 保証/窓口: 保証は1年、サポートは集中化され地域によっては海外返送が必要 [2]。

製品カテゴリは異なるものの、複数製品に跨る不具合事例は長期安定運用への懸念材料です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.3}\]

評価軸に対する所見:

  • 目標の妥当性: 低ノイズ・低歪を追求する透明志向は録音機材として合理的 [1]。
  • 堅牢性/保護: 他製品の不具合・リコールの経緯から、QAや保護設計、修理性の優先度に不安が残る [5][6]。
  • ライフサイクル支援: 保証1年と集中サポートは、業務用途の稼働率要件としては控えめ [2]。

測定性能偏重の姿勢自体は理解できるものの、堅牢性・サポート体制とのバランスが十分とは言い難く、専門現場では評価を下げます。

アドバイス

“透明”な4×4を求めるなら、まずMOTU M4(220 USD)から検討すると良いでしょう。出力DRで優位、EINも同等レンジ、独立測定の裏付けがあり、価格面の優位も大きいです [3][4]。E4x4 Pre(266 USD)は有用なモニタリング機能と優れた公称値を持ちますが [1][2]、第三者検証の少なさとブランドの信頼性懸念を踏まえ、保証やサポート手続きまで含めて慎重にご判断ください。

References

[1] Topping E4x4 Pre 取扱説明書(仕様・測定値), topping.pro/downloads/e4x4pre.pdf
[2] Topping E4x4 Pre 製品ページ, https://topping.pro/e4x4pre/
[3] Sound On Sound, MOTU M4 & M2 レビュー(120 dB DR、−129 dBu EINの記載), https://www.soundonsound.com/reviews/motu-m4-m2
[4] Audio Science Review, MOTU M4レビュー/測定, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/motu-m4-audio-interface-review.15757/
[5] Topping L30リコール告知(公式声明), https://www.reddit.com/r/headphones/comments/kwkh6z/topping_issues_recall_of_l30_amps_with_serial/
[6] Audio Science Review, PA5修理/モジュール交換スレッド, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/topping-pa5-fix-d01-module-replacement-for-everyone.44219/

(2025.10.6)