Topping E70 Velvet
AK4499EXチップ搭載の高性能DAC。測定性能は優秀ですが、同等機能を持つより安価な製品が存在するためコストパフォーマンスは高くありません。
概要
Topping E70 Velvetは、2022年にリリースされたAKMのフラッグシップDACチップ「AK4499EX」とコンパニオンチップ「AK4191」、そしてXMOS XU316を搭載したデスクトップDACです。標準モデルのE70が搭載するESS Sabre ES9028PROからAKMの最新チップセットに変更され、同社のVelvet Sound技術を採用した上位モデルとして位置づけられています。USB、同軸、光入力に加え、Bluetooth 5.1(LDAC/aptX対応)を備え、RCAアンバランス出力とXLRバランス出力の両方を提供します。付属のリモコンにより、固定レベルのDACモードまたは可変レベルのプリアンプモードで操作可能です。
科学的有効性
\[\Large \text{0.9}\]測定性能は極めて優秀です。XLRバランス出力においてTHD+N 0.00006%未満、SNR 131dB、ダイナミックレンジ 131dBを達成し、周波数特性は20Hzから40kHzの範囲で±0.2dBと、人間の聴覚では検知不可能な「透明」レベルを大きく上回ります。チャンネル間のクロストークも-143dBと世界最高水準です。RCAアンバランス出力でもTHD+N 0.00008%未満、SNR 125dBと、同様に透明レベルをクリアしています。これらの数値は、音源を劣化させないという点で、科学的に非常に高い有効性を示しています。
技術レベル
\[\Large \text{0.8}\]AKMのフラッグシップであるAK4499EXとAK4191のセパレート構成、およびXMOS XU316の採用は、技術的に先進的です。AKMのVelvet Sound技術は、データシート上の性能だけでなく、音色の自然さを追求したものです。最大でDSD512ネイティブとPCM 768kHz/32bitに対応し、Bluetooth 5.1によるハイレゾワイヤレス再生も可能であり、現代のDACとして高い技術水準にあります。ただし、心臓部であるDACチップセットは既製品の組み合わせであり、完全な自社設計ではないため、満点の評価には至りません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.4}\]日本市場での実勢価格63,000円に対し、同等の機能と測定性能を持つ製品がより安価に存在します。例えば、SMSL D-6Sは、USB・同軸・光・Bluetooth入力を備え、XLR・RCA出力に対応し、測定性能も同等レベルでありながら約26,000円で入手可能です。コストパフォーマンスは計算式「26,000円 ÷ 63,000円 = 0.41」に基づき算出されます。E70 Velvetは高性能なDACチップを搭載していますが、人間の聴覚では区別できないレベルの性能差に対して価格が2倍以上であるため、コストパフォーマンスは高いとは言えません。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]Toppingは2008年設立の中国メーカーで、オーディオ製品において世界的な知名度を持ちます。製品には通常1年間の保証が提供されます。ユーザーコミュニティでは、一部の製品(過去のPA5アンプなど)で品質のばらつきや故障事例が報告される一方で、多くの製品が長期間問題なく動作しているとの報告も多数あります。日本国内でのサポートは主に販売代理店経由となり、対応は標準的です。総合的に、業界平均レベルの信頼性と評価します。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]測定性能を最重視し、科学的に透明な音質を実現するというアプローチは合理的です。DACチップの選定から回路設計、そして多様なデジタル入力(Bluetooth含む)とバランス出力を備える仕様は、現代のデスクトップオーディオにおける実用性と高性能を両立させる上で理にかなっています。非科学的なオカルト的主張を排し、エンジニアリングに基づいた製品開発を行う姿勢は健全です。ただし、同等の性能をより低コストで実現する競合製品が存在する点では、価格設定の合理性に改善の余地があります。
アドバイス
Topping E70 Velvetは、測定上は世界最高クラスの性能を持つ極めて優秀なDACです。音源を一切脚色せず、忠実な再生を求めるユーザーにとって、その性能は確かな満足をもたらすでしょう。しかし、63,000円という価格は、その性能を正当化する上で課題があります。SMSL D-6Sのように、同等の機能と、人間の聴覚では区別がつかないレベルの測定性能を持つ製品が半額以下で存在するためです。AKMの最新フラッグシップチップの搭載や、筐体の仕上げといった要素に強い価値を感じる場合を除き、コストパフォーマンスを重視するならば、より安価な代替製品を検討することを強く推奨します。
(2025.8.1)