TRN Black Pearl

参考価格: ? 5550
総合評価
4.2
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.8
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.8

TRN Black Pearlは、37ドルという価格でハイエンド並みの性能を実現したポータブルDAC/アンプです。デュアルCS431431 DACチップ採用により、透明度の高い測定性能を達成しています。

概要

TRN Black Pearlは、中国のTRN Audio社が開発したポータブルDAC/アンプです。デュアルCS43131 DACチップとCB5100 USBブリッジチップを採用し、PCM 384kHz/32bitやDSD256まで対応しています。57mm×23mm×13mmのコンパクトサイズに4.4mmバランス出力と3.5mmシングルエンド出力を搭載。同社は2015年から中価格帯オーディオ機器メーカーとして着実に市場地位を築いてきており、特にコストパフォーマンスに優れた製品を多数展開しています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

TRN Black Pearlの測定結果は透明レベルに近い優秀な性能を示しています。SNR 130dB@4.4mm、THD+N -110dB@4.4mm/2Vrmsという値は透明レベル(SNR 105dB以上、THD 0.01%以下)を大幅に上回ります。ダイナミックレンジ130dBも同様に透明レベルを達成しており、可聴域での音質劣化はほぼ発生しません。CS43131チップの優秀な設計とデュアル構成による性能向上が数値に現れています。

技術レベル

\[\Large \text{0.8}\]

デュアルCS43131 DAC構成は技術的に先進的なアプローチです。CB5100 USBブリッジチップとの組み合わせにより、高サンプリングレート対応とDSD256サポートを実現しています。8バンドEQをソフトウェアで制御可能な設計も現代的です。ただし基本的には既存チップの組み合わせであり、独自開発による革新性は限定的です。コンパクトサイズでのデュアル構成実装は評価できる技術レベルです。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

37ドルでバランス出力、ソフトウェアEQ機能、デュアルDAC構成を備えた同等以上の製品は存在しません。バランス出力や高度なEQを必要とする場合、上位機種のQudelix 5K(109ドル)やFiiO KA17(108ドル)との価格差は約3倍となります。基本的なDAC/アンプ機能のみであれば、より安価な代替品が存在しますが、Black Pearlの機能セットを低価格で実現した点は優位です。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

TRNは2015年設立以降、安定した製品供給を継続しており、製品の初期不良率も業界平均を下回っています。12ヶ月の製品保証を提供し、主要販売店を通じたサポート体制も整備されています。ファームウェア更新には対応していませんが、ハードウェアベースの安定動作により長期使用に適しています。中国メーカーとしては信頼性の高いカテゴリーに属します。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

透明レベルの測定性能達成を37ドルで実現した設計思想は極めて合理的です。デュアルDAC構成による性能向上、コンパクトサイズでの実装、ソフトウェアEQ対応など、現代的なアプローチを低コストで統合しています。専用オーディオ機器として、汎用スマートフォンでは実現困難なバランス出力や高出力を提供する必然性があります。測定データに基づく性能重視の開発姿勢も科学的に合理的です。

アドバイス

TRN Black Pearlは、バランス出力やデュアルDAC構成を重視するユーザーに適した選択です。37ドルでSNR 130dB、THD+N -110dBという透明レベルの性能を実現しています。ただし基本的なDAC/アンプ機能のみであれば、FiiO KA11(29.99ドル)がより高出力で安価な代替案となります。バランス出力(4.4mm)の320mW出力やソフトウェアEQ機能が必要な場合にBlack Pearlの価値が発揮されます。Bluetooth接続やより高度なEQ機能を重視する場合は、Qudelix 5K(109ドル)など上位機種も検討してください。購入前に、バランス接続の必要性を慎重に検討することをお勧めします。

(2025.8.7)