TruthEar x Crinacle Zero:BLUE2

参考価格: ? 10000
総合評価
3.2
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.8

ハーマン系のターゲットに沿ったサウンドにサブベースを加えた2DD IEM。客観データは堅実ですが、より安価な単一DD機に対して価格面の圧力が強いです

概要

TruthEar x Crinacle Zero:BLUE2は10 mm低域用+7.8 mm中高域用の2DD構成で、液晶ポリマー系ダイアフラムと改良磁気回路(10 mmはN52、7.8 mmはN55)を採用し、好み曲線に沿ったチューニングでサブベースを強化したモデルです。パッケージには5 Ωインピーダンスアダプターも同梱されます [1]。公式ページの表示価格は64.99 USDで、日本市場では概ね1万円前後で流通しています [1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

メーカー公称は感度119.5 dB/Vrms、インピーダンス5.8 Ω(いずれも1 kHz)で、低出力インピーダンスのソースでの駆動が推奨されます [1]。THDは<0.3% @1 kHz @94 dB(小売掲載)〜<1% @1 kHz(公式ページ)と表記に幅がありますが、いずれも実用域で低歪と解釈できます [1][2]。第三者(5128)測定の周波数特性はサブベースを持ち上げつつミッド〜トレブルが制御された傾向で、設計目標と整合します [3]。総合するとIEMとして十分良好ですが、THD表記の不一致を踏まえ境界的な透明レベルの評価としました。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

7.8 mm側の磁石径・ドーム面積拡大や多腔磁気回路、DLP 3Dプリント筐体など、現実的で筋の通った改良が見られます。とはいえ採用技術は先端方式ではなく、熟成したダイナミック型の範囲に留まります [1]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

本機の実勢は10,000円(65 USD)とし [1]、比較対象は7Hz x Crinacle Zero:2です。Zero:2は同等のユーザー機能(有線IEM・2ピン着脱)を備え、第三者測定でもターゲット準拠のFRと低歪が確認されています [4]。米国の市場価格は24.99 USDです [4]。
計算: 3,800円 ÷ 10,000円 = 0.38 → 四捨五入で 0.4
同等性(最小開示): 有線モニター用途・着脱式ケーブルで機能同等、公開測定でターゲット準拠FRと低歪で同等以上 [3][4]。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

正規販売網(The Hangout by Crinacle等)とサポート/修理案内が公開されており [1][2]、DLP樹脂筐体と着脱式2ピンという堅実な構成です。発売からの期間が短く、長期故障率などの統計は限定的です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

設計資料は線形・非線形歪の低減と好み曲線への整合を明示し [1]、独立測定のFRも概ね裏付けます [3]。ドライバー数の誇示より測定整合性を優先する姿勢は合理的です。

アドバイス

Crinacleコラボとサブベース強調のハーマン系チューニングに価値を置くなら本機は有力候補です。一方、可聴透明性重視で費用対効果を最大化したい場合は、まず7Hz Zero:2を検討すると良いでしょう。BLUE2の2DD構成はサブベースの余裕や付属インピーダンスアダプターによる微調整の柔軟性を与えますが、明確で大きな可聴差が常に得られるわけではありません [1][3][4]。

参考情報

[1] TRUTHEAR, “ZERO:BLUE2” 製品ページ(仕様・設計解説・64.99 USD表記・同梱物). 2025年8月20日アクセス. https://truthear.com/products/zero-blue2
[2] The Hangout by Crinacle, “Truthear x Crinacle Zero:BLUE2” (THD < 0.3% @1 kHz @94 dB 表記). 2025年8月20日アクセス. https://hangout.audio/products/truthear-x-crinacle-zero-blue-2
[3] Crinacle 5128データベース, “ZeroBLUE2 (Foam tips)” — ITU-T P.57 Type 4.3での周波数特性. 2025年8月20日アクセス. https://graph.hangout.audio/iem/5128/?share=SoundGuys_Target%2CSuperMix_4%2CEW300DSP_Red%2CZeroBLUE2%28Foam_tips%29%2CIE200
[4] Audio Science Review, “7Hz x Crinacle Zero:2 IEM Review” — 詳細測定・市場価格24.99 USDの記載. 2023年12月18日公開, 2025年8月20日アクセス. https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/7hz-x-crinacle-zero-2-iem-review.50534/

(2025.8.21)