TWISTURA D-Major

参考価格: ? 7500
総合評価
2.6
科学的有効性
0.4
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.7

金属筐体とデュアルチャンバー設計、交換ノズルなど作りは良好。一方で公称THD≤1%と第三者測定の乏しさから客観性能は平凡。保証も標準的で、総合的には入門機として無難だが突出はしない評価です。

概要

TWISTURAは新興のオーディオ企業で、D-Majorは競争の激しい予算IEM領域に投入された初期モデルです。10mmデュアルチャンバー・デュアルマグネティック・ダイナミックドライバー、ベリリウムメッキ複合振動板、0.78mm 2pin着脱式ケーブルを採用し、実売は7,500円(50 USD)前後です。磁束密度は1テスラとされ、チューニング用ノズル/付属品も用意されています [1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.4}\]

公開されている数値は、THD≤1%(@1kHz)、感度108dB(@1kHz)、インピーダンス22Ω、周波数特性15Hz–37kHz(有効範囲20Hz–20kHz)などで、現代IEMとしては歪率がやや高め(聴感上不利になり得る領域)です。第三者の網羅的測定は現時点で限定的であり、総合判断の解像度は高くありません。以上を踏まえ、既知の事実に基づき0.5を基準に減点し0.4とします [1]。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

デュアルチャンバー/デュアルマグネット構成やベリリウムメッキ複合振動板、1テスラ級の磁束をうたう設計は材料・機構面の工夫を示します。ノズル交換で特性を可変にする設計も実装上の工夫です。一方で、産業水準を大きく超えるブレークスルーを裏づける公開測定や技術資料は限定的で、先端性は中位評価とします [1]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

比較基準(同等以上の機能・測定性能)
Moondrop CHU II:0.78mm 2pin着脱式ケーブル、10mm DD、メーカー公称 THD≤0.5%(@1kHz, 94dB)、感度119dB/Vrms などで、ユーザー視点の機能同等かつ歪率・感度は同等以上です(第三者測定でも低歪・素直な応答が報告)[2][3]。
価格根拠:D-Major 50 USD(実売)[1]、CHU II 19 USD 程度(実売確認)[4]。

計算:19 USD ÷ 50 USD = 0.38 → 四捨五入で 0.4
よって、同等以上をより安価に得られる具体例が存在するため、D-MajorのCPは0.4と評価します(日本語記事でもCP計算はUSD基準で統一)。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

販売は正規代理店経由で行われ、IEM本体1年/ケーブル3か月の保証記載があります。新興ブランドゆえ長期RMAやMTBFなどの実績データは不足しており、可も不可もない中立評価とします [1]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.7}\]

音響的に意味のある方向(チューニング可変、空気流路設計、素材剛性の確保)に資源を配分しており、非科学的主張に依存しない点は好ましいです。ただし公開測定での透明域達成は確認できず、合理性は良好ながら満点ではありません [1]。

アドバイス

50 USD帯で測定重視なら、より低価格で同等以上の客観性能が狙えるMoondrop CHU IIが有力です [2][3][4]。独自ノズル運用や金属筐体の外観を重視し、TWISTURAの設計方向性に関心がある場合はD-Majorも選択肢になります。一方で、測定性能の裏づけや歪の余裕度を優先するなら、まずCHU IIを検討し、わずかに予算を広げてもよいならTruthear ZERO系も候補になります [5]。

参考情報

[1] Linsoul, “TWISTURA D-Major,” https://www.linsoul.com/products/twistura-d-major (技術詳細・保証/2025-08-18参照)
[2] Moondrop, “CHU II,” https://moondroplab.com/en/products/chu-ii (仕様:0.78mm 2pin、THD≤0.5% @1kHz 94dB、感度 119dB/Vrms/2025-08-18参照)
[3] Audio Science Review, “Moondrop Chu II IEM Review (measurements),” https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/moondrop-chu-ii-iem-review.55179/ (測定・2024-06-16 掲載)
[4] Amazon US, “Moondrop CHU II,” https://www.amazon.com/dp/B0CB8HHS8V (価格確認/2025-08-18参照)
[5] TRUTHEAR, “TRUTHEAR x Crinacle ZERO,” https://truthear.com/products/zero (構成・価格帯把握/2025-08-18参照)

(2025.8.19)