Yamaha A-S301
許容できる測定値を持つ伝統的なプリメインアンプですが、現代的な代替製品と比較するとコストパフォーマンスが劣ります
概要
Yamaha A-S301は、ToP-ART回路設計を特徴とする60Wプリメインアンプで、光/同軸入力対応の内蔵DAC、MMフォノステージを搭載しています。YamahaのNatural Soundシリーズの一部としてリリースされ、基本的なデジタル接続性を備えたアナログスタイルの操作を求める従来のハイファイ愛好家をターゲットとしています。アンプにはピュアダイレクトモード、連続可変ラウドネス制御、サブウーファー接続機能付きデュアルスピーカー出力が含まれています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.6}\]メーカー仕様は THD 0.019%(20 Hz–20 kHz、8 Ω)、SNR 99 dB、周波数特性 10 Hz–100 kHz(±1.0 dB)、ダンピングファクター 210です。いずれも良好ですが、アンプの透明レベル(例:SNR 105 dB以上、THD 0.01%以下)には届きません。チャンネルセパレーションは65 dB(1 kHz)で、これも透明指標には満たない値です。第三者の包括的ベンチ計測は見当たらず、ラウドネス機能の挙動についての測定のみが確認できました。[1][2][3]
技術レベル
\[\Large \text{0.5}\]A-S301はアナログClass-ABとToP-ARTの直線・対称レイアウトを採用し、192 kHz/24-bit対応の内蔵DAC(チップの公式開示なし)を備えます。Pure Directや連続可変ラウドネスなど定評のある機能を搭載しますが、競合と一線を画す独自/先端の実装は限定的です。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.3}\]45,000円に対して、SMSL A12(約90 USD相当)は 40 W ×2(8 Ω)、内蔵DAC、Bluetooth、THD 0.005%(公称)を提供します。A12にはMMフォノがないため、外付けフォノイコライザー(約 22–35 USD)を追加すれば機能等価に近づきます。
総コスト比較(USDベース): (90 + 30) USD ÷ 380 USD ≈ 0.32。Yamahaの内蔵フォノは利便性がありますが、歪み公称値や機能面を踏まえると、現代的なClass-D代替機の方が価格当たりの性能/機能は優勢です。[4][5][6]
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Yamahaは正規販売店経由の標準保証と広いサービス網を提供します。過去にはA-Sシリーズ対象の追加3年保証キャンペーンが米国で実施された例もあります(時期・対象は地域/モデルにより異なります)。一方で小売店ページ等ではA-S301の保証2年の表記が一般的です。[7][8][9]
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.6}\]DSP依存を避けた素直なアナログ路線はブランドの「Natural Sound」と整合し、長期の整備性にも利があります。ただし、低価格・高機能化が進むClass-D統合機と比べると、測定上の数値や機能の対価格効率では不利になりやすい側面があります。
アドバイス
フォノ内蔵やアナログ的操作感を重視するならA-S301は妥当です。コスト重視なら、SMSL A12+低価格フォノEQの組み合わせは機能面が広く、歪み公称値も有利で約32%のコストで近い用途を満たせます。
参考情報
[1] Yamaha USA — A-S301 仕様: https://usa.yamaha.com/products/audio_visual/hifi_components/a-s301/specs.html
[2] A-S701/A-S501/A-S301 取扱説明書(PDF): https://usa.yamaha.com/files/download/other_assets/8/332208/web_VEX7880_A-S701_A-S501_A-S301_om_U_EnFr_A0.pdf
[3] Audio Science Review フォーラム — 「Loudness Control on Yamaha A-S301 Measurements」: https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/loudness-control-on-yamaha-a-s301-measurements.38210/
[4] SMSL A12 仕様(マニュアル/小売掲載): https://manuals.plus/smsl/a12-bluetooth-5-0-stereo-audio-amplifier-manual
[5] SMSL A12 価格例(89.99 USD): https://thehificat.com/products/smsl-a12
[6] Pyle PP999 フォノEQ 価格例: https://www.blackhillsvinyl.com/product/pyle-pp999-phono-preamp/BTHL2LYPCLWHGYM5IT5SH2LR
[7] Yamaha USA 保証概要: https://usa.yamaha.com/support/warranty/index.html
[8] A-S統合アンプ 追加3年保証キャンペーン(米国): https://usa.yamaha.com/promotions/a-s_additional_warranty_2021/index.html
[9] Crutchfield A-S301 商品ページ(保証2年表記あり): https://www.crutchfield.com/p_022AS301B/Yamaha-A-S301.html
(2025.9.2)