Yamaha HS8S
22Hzまでの低域拡張と150Wアンプを備えた従来型8インチスタジオサブウーファーですが、同等以上の性能を持つ低価格モデルが複数存在します。
概要
Yamaha HS8Sは、HSシリーズモニター向けに設計された8インチのパワード・スタジオサブウーファーです。2013年から同社のプロオーディオ製品に位置づけられ、MDFキャビネットのバスレフ構造を採用し、周波数応答は22Hzまで拡張とされています。150Wの専用アンプ、80–120Hzの可変クロスオーバー、XLR/TRS入出力など、スタジオ統合に必要な基礎機能を備えます。[1][2]
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]メーカー公表値では周波数応答22–150Hz(-10dB)であり、クロスオーバーは80–120Hz可変です[1][2]。一方で、THD、S/N、最大出力(実効)などの第三者測定が十分公開されておらず、独立データの蓄積は限定的です。現時点では主にメーカー仕様へ依存した評価となるため、スコアは中立の0.5に留めます(新たな測定値入手時に更新します)。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]MDFキャビネット+バスレフ型の単一ドライバーという標準的構成で、DSP等の高度機能は見当たりません。クロスオーバーも80–120Hzの基本機能にとどまり、ユーザー体験を直接高める独自技術は限定的です[2]。設計は堅実ですが、同価格帯でより進歩的な制御機能や測定裏付けを備える製品が存在します。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.8}\]国内の一般販売価格は51,500円前後です[3]。これに対し、JBL LSR310Sは10インチドライバー、200W、最大113dB、低域27Hzまでの拡張など、ユーザー観点で同等以上の機能・性能を提供しつつ、39,800円で入手可能です[4]。実勢最安が下回るため、コストパフォーマンスは0.8と評価します(比較は同等以上の機能・測定仕様に基づく選定)。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Yamahaは正規流通とサポート網が整備され、部品供給や修理体制の安心感があります。多くの地域で1年保証が一般的ですが、適用条件は地域や販売店により異なります。長期生産実績は安定性の一因ですが、MTBFやRMAなど定量データは非公開です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]既存HSシリーズとのトーン整合と基本性能の確保を重視した合理的設計です。一方、ルームアコースティックへの適応や高度な補正(DSP/自動測定統合など)には踏み込んでおらず、同価格帯の一部競合が示す最新的アプローチには劣後します。
アドバイス
HSシリーズと組み合わせてトーン整合を重視する用途では選択肢になります。新規導入やコスト最適化を重視する場合は、同等以上の機能・性能をより低価格で提供するJBL LSR310Sを第一候補として検討してください[4]。設置・測定・チューニング(クロスオーバーと位相合わせ)は結果に大きく影響しますので、適切な配置と簡易測定ツールの活用を推奨します。
参考情報
[1] Yamaha Corporation, HS Series Specifications, https://usa.yamaha.com/products/proaudio/speakers/hs_series/specs.html, accessed 2025-08-15
[2] Yamaha, HS8/HS7/HS5/HS8S Owner’s Manual (PDF), https://jp.yamaha.com/files/download/other_assets/4/793644/VHM5490_HS8I_En_OM_D0_views.pdf, accessed 2025-08-15
[3] Soundhouse(JA), YAMAHA HS8S 製品ページ, https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/184220/, accessed 2025-08-15
[4] Soundhouse(JA), JBL LSR310S 製品ページ, https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/205513/, accessed 2025-08-15
[5] JBL Professional, LSR310S 製品ページ(英語), https://jblpro.com/en-US/products/lsr310s, accessed 2025-08-15
[6] Kali Audio, WS-6.2 製品ページ, https://www.kaliaudio.com/watts-ws62, accessed 2025-08-15
(2025.8.15)