Yamaha NS-F700

参考価格: ? 120000
総合評価
2.4
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
0.7
信頼性・サポート
0.3
設計思想の合理性
0.5

3ウェイ・バスレフ型のフロアスタンディングスピーカー。A-PMDコーンとアルミドームツイーターを搭載した生産終了モデルです

概要

Yamaha NS-F700は、16cmウーファー、13cmミッドレンジ(いずれもA-PMDコーン)、3cmアルミドームDC-Diaphragmツイーターを備える3ウェイ・バスレフ型のトールボーイスピーカーです。台形キャビネットとラウンドトップにより定在波を抑制する設計で、ピアノの黒鏡面塗装に準じるPiano Black仕上げの外観も用意されています。現在は生産終了のため、中古での流通が中心です [1][2]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

メーカー公表値は再生周波数帯域45Hz–50kHz(−10dB)、インピーダンス6Ω、感度89dB/2.83V/1m、クロスオーバー700Hz/4kHzです(いずれもメーカー仕様)[1][2]。一方で、当該モデルの第三者による詳細な無響室測定(FR偏差、THD、指向性など)は確認できていません。したがって本評価は「測定性能不明=0.5」を基点とし、仕様の妥当性を踏まえて据え置きとしています。今後、独立測定が公開されれば本項は更新余地があります。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

A-PMD(Advanced Polymer-injected Mica Diaphragm)コーン、DC-Diaphragmツイーター、三面留め(みぞほぞ)構造や台形キャビネットなど、設計意図は合理的です。ただし公開特許や第三者測定で優位が確認された最新世代の拡散・指向性最適化(例:専用大径ウェーブガイドの最適化曲線など)に比べ、技術の新規性は限定的です。総じて「業界平均~やや下の世代相当」の評価としました [1][2]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.7}\]

レビュー対象の実勢:120,000円(ペア想定、約811 USD相当)。比較対象(同等以上)は、JBL Stage A170(パッシブ・フロアスタンディング、2.5ウェイ、6Ω、感度89dB、独立測定で中域〜低域の素直な応答と、低域の−6dB点が44Hzであることが確認)としました [3]。新品が現行流通しており、価格は265 USD/本(新品)→530 USD/ペアです [4]。
等価性の根拠(要約):同等のユーザー機能(受動フロア型)かつ第三者測定でFR/感度が妥当で、下限周波数も仕様上同等以上(44Hz対45Hz相当)[3]。

計算はUSDで統一(日本語版は円額を併記):
530 ÷ 811 = 0.65 → 0.7(小数1位丸め)
中古相場が安い個体を選べば改善の余地はありますが、確認可能な新品の最安同等品が相対的に安く、客観的CPは0.7と判断します。参考として国内中古の掲示例はおおむね7万〜12万円台(ペア/状態により変動)です [5]。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.3}\]

本機は生産終了であり、メーカー新品保証や継続的なモデル固有サポートは期待できません [2]。取扱説明書・仕様など基本資料は公開されていますが、修理はパーツ供給状況に依存します。1本25kgと重量級のため輸送・設置のリスクも相応にあります(いずれもメーカー公表値)[1][2]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.5}\]

ユニット・ネットワーク・キャビネットの各要素に物理現象に基づく対策(軽量高剛性コーン、広帯域ツイーター、定在波低減形状)が施され、理屈は首尾一貫しています [1][2]。ただしその実効性(透明レベル達成)を示す独立測定が未確認で、現代的な指向性最適化や低歪み設計の優位を客観値で主張しにくい点が減点要素です。

アドバイス

・NS-F700は仕上げや造形、ブランド統一感を重視し、クラシカルな3ウェイ受動フロア型を楽しみたい方に向きます。
測定裏付けのある中立的な音の目安とコストを重視するなら、JBL Stage A170(新品:530 USD/ペア)は堅実な選択肢です [3][4]。
・広い部屋で低域量感を補いたい場合は、適切なサブウーファーの追加や設置最適化(壁からの距離・トーイン調整)を検討するとよいです。
・アンプは6Ω負荷に安定し、実効出力に余裕のあるモデルを推奨します(感度89dB/2.83V/1m)[1]。

参考情報

[1] Yamaha(JP): 「NS-F700 仕様」https://jp.yamaha.com/products/audio_visual/speaker_systems/ns-f700/specs.html (2025-08-16参照)
[2] Yamaha(AU): 「NS-F700 概要/仕様(Discontinued表記あり)」https://au.yamaha.com/en/products/audio_visual/speakers/ns-f700/index.html / https://au.yamaha.com/en/products/audio_visual/speakers/ns-f700/specs.html (2025-08-16参照)
[3] Stereophile: 「JBL Stage A170 loudspeaker Measurements」https://www.stereophile.com/content/jbl-stage-a170-loudspeaker-measurements (2025-08-16参照)
[4] Reverb(販売ページ): 「JBL STAGE A170 Single Floorstanding Speaker(新品)」https://reverb.com/item/74397137-jbl-stage-a170-single-floorstanding-speaker-black (2025-08-16参照)
[5] メルカリ(検索): 「ヤマハ NS-F700 の出品例」https://jp.mercari.com/search?keyword=%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8F+ns-f700 (2025-08-16参照)

(2025.8.16)