Yamaha NS-SW700

参考価格: ? 109000
総合評価
2.5
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.3
コストパフォーマンス
0.6
信頼性・サポート
0.7
設計思想の合理性
0.4

300W・25cmダウンファイアリング、Advanced YST II搭載。機能は十分だが設計は古く、現行の測定公開モデルと比べて割高です

概要

NS-SW700は25 cm(10インチ)ダウンファイアリングのバスレフ型パワードサブウーファーです。Advanced YST II(ANIC)、QD-Bass(下向き配置)、直線ポート、BASS(Movie/Music)モードを備え、メーカー公称で動的出力300 W、周波数特性20 Hz–160 Hz、外形406 × 445 × 406 mm、重量21 kgとされています[1][2]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

本機について信頼できる第三者の測定公開は見当たりません。周波数特性や出力はカタログ値のみで、測定条件の明記も十分ではありません[1][2]。周波数応答の直線性、最大出力(CEA-2010)、歪みなどの独立データがないため、可聴域での実力は評価不能です。ダウンファイアリングやサーボの利点は考えられますが、定量化はできません。

技術レベル

\[\Large \text{0.3}\]

Advanced YST IIとバスレフの組み合わせ、モード切替、動的出力300 Wという構成は当時として標準的で、現行のDSP連携(アプリ制御、PEQ、ルーム補正)を備えるモデルと比べて技術的新規性は限定的です[1][2]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.6}\]

最安の同等以上品として、RSL Speedwoofer 10S MKII(501 USD)が挙げられます[5]。同機は第三者のCEA-2010測定(2 m RMS)で40 Hz超107 dB、25 Hz付近102 dBの短時間出力、かつ無響で22–200 Hz ±3 dBが示されています[6]。一方、NS-SW700はカタログ値のみで測定裏付けがなく、ユーザー視点の機能(低域拡張と実出力)でRSLが同等以上と判断できます。
計算(CPはUSDで統一):501 USD ÷ 780 USD = 0.642 → 0.6(小数第1位四捨五入)。
参考として、密閉型かつアプリ制御のSVS SB-1000 Pro(599 USD、20–270 Hz ±3 dB、第三者測定あり)も明確な上位代替です[3][4]。
※本レビュー対象の市場価格は109,000円(780 USD)とし、分母は製品側価格に固定しています。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.7}\]

Yamahaはサービス網と文書整備が安定しており、一般的な保証体制も整っています。NS-SW700自体は古い設計で、ファームウェアやアプリ更新の対象外です。具体的な故障統計は公開されていませんが、サポート入手性は標準的です[1][2]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

サーボ(Advanced YST II)やポートチューニングは合理的な方向性ですが、現行機のような測定透明性やユーザー調整機能を欠き、価格優位性も示せていません。測定公開と調整自由度を備える同価格帯の製品が存在する現状では、本機の価格設定を合理化する根拠は弱いです[4][6]。

アドバイス

型番合わせ等の事情がない限り、測定公開と機能が充実した現行モデルを優先すべきです。強い値頃感と出力実績を持つRSL Speedwoofer 10S MKII[5][6]、密閉型とアプリ制御を重視するならSVS SB-1000 Pro[3][4]が堅実な選択です。NS-SW700は大幅値下げや中古良品でない限り積極的に選ぶ理由は限定的です。

参考情報

[1] Yamaha, “NS-SW700 – Specs,” https://asia-oceania.yamaha.com/en/audio/home-audio/products/speakers/ns-sw700/specs.html, 2025-08-21参照。
[2] Yamaha, “NS-SW700 Owner’s Manual (PDF),” https://jp.yamaha.com/files/download/other_assets/5/327445/NS-SW700_BUCA_en.pdf, 2025-08-21参照。
[3] SVS, “SB-1000 Pro Subwoofer – Specifications & Price,” https://www.svsound.com/products/sb-1000-pro-subwoofer, 2025-08-21参照。
[4] Audioholics(J. Larson), “SVS PB-1000 Pro and SB-1000 Pro Subwoofers Review,” ground-plane測定・CEA-2010(2 m RMS)、https://www.audioholics.com/subwoofer-reviews/svs-pb-1000-pro-sb-1000-pro, 2021-04-20。
[5] RSL Speakers, “Speedwoofer 10S MKII – Price & Specifications,” https://rslspeakers.com/products/rsl-speedwoofer-10s-mkii, 2025-08-21参照。
[6] Audioholics(J. E. Johnson), “RSL Speedwoofer 10S MKII Review,” CEA-2010(2 m RMS)および無響応答、https://www.audioholics.com/subwoofer-reviews/rsl-10s-mkii, 2022-07-01。

(2025.8.22)