Yamaha RX-S600

参考価格: ? 37500
総合評価
2.8
科学的有効性
0.6
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.3
設計思想の合理性
0.4

2014年発売・販売終了のスリム型AVレシーバー。測定は堅実だがプラットフォームは古い。現行の同等以上機で本機より安価な新品は確認できず、CP=1.0です。

概要

Yamaha RX-S600は2014年発売の5.1チャンネル・スリム型ネットワークAVレシーバーで、現在は販売終了です。高さ111 mmの薄型筐体とAirPlayなどのネットワーク機能、HDMI×5入力を備えます。メーカー公称値は6オーム負荷で60 W/ch(20 Hz–20 kHz、2ch、0.09% THD)、1 kHz・1chでは95 W(0.9% THD)、ダイナミックパワーは8オームで90 Wです[2]。第三者ベンチでも低歪かつ良好なクロストークが確認されています[1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

第三者測定: 8オーム負荷・2.83 V駆動時の1 kHzにおけるTHD+Nは0.026%未満、クロストークは−95.39 dB(L→R)/ −98.42 dB(R→L)、A特性S/Nは−106.13 dBrA(10 Hz–24 kHz)[1]。メーカー仕様: 周波数特性10 Hz–100 kHz(+0/−3 dB)[2]。歪みとS/Nは概ね透明域に近く、通常音量では十分にクリーンですが、出力余裕は大きくなく、能率の低いスピーカーでは最大音量に制約が出ます。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

増幅は従来型のクラスAB、DACはBurr-Brown 192 kHz/24-bit。HDMI機能やストリーミングは現行基準では古く、eARCや最新アプリ連携も非対応です。YPAOの自動補正は基本機能に留まり、スリム化以外に技術的な先進性は限定的です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

価格(分母): 37,500円(250 USD)。
比較対象(新品で最安かつ同等以上): Pioneer VSX-534(5.2ch、メーカー公称 80 W/ch @ 8 Ω、20 Hz–20 kHz、2ch、0.08% THD、4K HDR対応)。Amazonで279 USDを確認しました[3][4]。HDMI機能は新しく、定格出力・THDも条件は異なるものの同等以上と判断できますが、本機より安価ではありません。代表的な市場価格で本機より安い同等以上の新品は確認できなかったため、CP=1.0とします(JA記事の金額表記は円、CP計算はUSD基準で整合)。

(条件差の明示: RX-S600の出力は6 Ω条件、VSX-534は8 Ω条件での公称値です。) [2][3]

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.3}\]

販売終了品のため公式ファーム更新と保証は終了しています。部品供給や最新HDMI環境との長期互換性は不確実です。継続サポートが必要な用途では現行機の方が安全です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

薄型化は設置制約への実用的解ですが、熱・出力面の余裕を犠牲にしやすい設計です。高度なルーム補正や最新I/Oへの投資は見られず、測定値の透明域をより広く実現する方向性とも言い難いです。

アドバイス

高さ111 mmの省スペース性が必須で、販売終了のリスクを許容できる場合のみ選択肢になります。基本的な5.x HDMI AVRを新品で求めるなら、Pioneer VSX-534のような現行エントリ機が最新の接続性と少なくとも同等の定格性能を提供します(ただし価格は上がります)。最新HDMIに対応したスリムAVRを求める場合、現行のスリム機は本機の中古相場より高価である点に注意してください。

参考情報

[1] Sound & Vision, 「Yamaha RX-S600 AV Receiver Test Bench」, https://www.soundandvision.com/content/yamaha-rx-s600-av-receiver-test-bench, 2014-05-20, 参照日 2025-08-20。主条件: 8 Ω、2.83 V、1 kHz THD+N;A特性S/N 10 Hz–24 kHz。

[2] Yamaha (CA), 「RX-S600 — Specs」, https://ca.yamaha.com/en/products/audio_visual/av_receivers_amps/rx-s600/specs.html, 参照日 2025-08-20。主仕様: 60 W/ch(6 Ω、20 Hz–20 kHz、2ch、0.09% THD);95 W(6 Ω、1 kHz、1ch、0.9% THD);ダイナミックパワー 90 W(8 Ω)。

[3] Pioneer, 「VSX-534 — Owner’s Manual」, https://assets.pioneerhomeusa.com/product-manuals/vsx534Manual_en_2025-02-07-213633_urdd.pdf, 参照日 2025-08-20。主仕様: 80 W/ch(8 Ω、20 Hz–20 kHz、2ch、0.08% THD, FTC)。

[4] Amazon(Adorama経由), 「Pioneer VSX-534 Home Audio Smart AV Receiver 5.2-Ch」, https://www.amazon.com/Pioneer-VSX-534-5-2-Ch-Virtual-Bluetooth/dp/B07P8BCWKY, 価格確認 279 USD、参照日 2025-08-20。

(2025.8.20)