製品レビュー
FiiO JH5
着脱式ケーブルと独立測定された周波数特性を備える、パッシブ1DD+4BAハイブリッドIEM。
概要
FiiO JH5は、系列ブランドであるJade Audioとしても展開される有線イヤモニターで、2024年初頭に発売されました。10mmのカーボン系ダイナミックドライバーと、3つに分離された音響チャンバーに配置された4基のバランスドアーマチュアドライバーを組み合わせています。公式資料はFH7・FH9の音響設計を参照したと説明しており、着脱式0.78mm 2ピン、392芯の銀メッキ銅ケーブルが付属します [1]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.4}\]独立した2つのカプラー測定は左右チャンネルがよく一致し、同じ大まかな周波数特性を再現しています [2][3]。Super* ReviewのクローンIEC-711グラフを500Hz、60dBで正規化すると、JH5はHarman IE 2019 v2ターゲットに対して20Hz-80Hzで約2dB-4dB低く、200Hz-1kHzでは概ね近接し、2.7kHz-3kHz付近で約1dB高く、4kHz-8kHzでは5kHz付近の急落を含む大きな山谷を示します [2]。Sonyイヤーピースを使ったspectrumのデータも、20Hz-80Hzで約2dB-3dB低く、100Hz-300Hzで約2dB-3dB高く、500Hz-3kHzの大部分で近接し、5kHz-8kHzで不規則になる傾向を再現しています [3]。10kHz以上はカプラー測定の制約から信頼できる評価対象にしていません。FiiOは20Hz-40kHz、1kHzで13Ω、111dB SPL/mWを公称していますが、周波数特性の許容偏差は示しておらず、引用した資料には独立した歪みや遮音の測定もありません [1]。低域と高域の偏差が独立測定間で一貫し、測定項目も限定されるため、科学的有効性は0.4です。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]JH5はカーボン複合ダイナミックドライバー、4基のバランスドアーマチュア、3つの音響チャンバー、パッシブクロスオーバー、ノズルチューニング、銀メッキケーブルを組み合わせています [1]。FH7・FH9から音響設計の考え方を移したという公式説明からは、製品系列で蓄積した設計知識が確認できます。一方、いずれも確立されたパッシブIEMの手法であり、引用した公式資料には、競合による再現が難しい特許機構、技術論文、固有の実装は記載されていません。技術的な内容は近年の電子処理やソフトウェアではなく、適切な機械・音響要素の統合にあり、技術レベルは0.4です。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.3}\]現在の市場価格: 14,614円 (90.10 USD)。 [4][5]
CP = 4,950円 (30.52 USD) ÷ 14,614円 (90.10 USD) = 0.3387
当サイトはドライバー種別や構成を考慮せず、機能性と測定性能の数値のみに基づいて評価しています。比較対象はMoondrop CHU IIで、在庫のある現在価格は4,950円です [8][9]。両製品は3.5mmアナログプラグと着脱式0.78mm 2ピンケーブルを備えるパッシブ有線IEMで、公称インピーダンスと感度は一般的なポータブル音源での使用に十分です [1][8]。同一のSuper* ReviewクローンIEC-711測定では、CHU IIは20Hz-60Hzで約1dB-1.5dB高くターゲットに近接し、100Hz-1kHzではほぼ同等、1kHz-3kHzではより早く立ち上がり、4kHz-8kHzではJH5より概して平滑です [6]。別のGRAS 45CA測定では、94dB SPL基準時のTHDはほぼ全帯域で0.1%以下、104dB SPLでも低域の最大値は約0.5%、2.5kHz付近は約0.2%でした。1kHzの実測インピーダンスは18.76Ωでほぼ平坦に推移し、94dB SPLに必要な電圧は61mVです [7]。JH5には独立した歪み測定がないため、この軸は暫定評価ですが、CHU IIは直接比較できる周波数特性で同等以上であり、必須機能を失わずに低歪みも独立確認されています。計算値を丸めたコストパフォーマンスは0.3です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.4}\]FiiOの公開規定では、本体の交換期間は1ヶ月間、無償修理期間は1年間で、付属品と梱包は対象外です。各地域では現地代理店の条件が優先されます [10]。ケーブルは着脱・交換できますが、引用した資料は5ドライバーのイヤーピースに特別な耐久性があることを示しておらず、本モデルの故障率、RMA、MTBF統計も提供していません。1年間という上限と長期サポート規定がないことから、信頼性・サポートは0.4です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.5}\]JH5はパッシブクロスオーバー、チャンバー分離、ノズルチューニングにより、周波数特性と直接関係する機構で音響出力を制御します [1]。これはIEM設計として合理的な基礎ですが、適応補正などの特徴的な機能進歩を持たない一般的なパッシブ実装です。公式資料は付属する392芯の銀メッキケーブルを仕様として示すだけで、測定上または可聴上の忠実度向上は主張していません [1]。機能上の存在理由はありますが、技術的には保守的であるため、設計思想の合理性は0.5です。
アドバイス
FiiO JH5は着脱式ケーブルを備えるパッシブ・ハイブリッドIEMですが、引用した測定では低域がHarmanターゲットを下回り、4kHz-8kHzに大きな山谷があります。同一測定系の周波数特性が同等以上で、歪みも独立測定で低い、大幅に安価なMoondrop CHU IIに対する忠実度上の優位性は確認できません。購入時にはコネクターと装着要件、JH5の1年間というサービス期間を確認し、ドライバー数やケーブル芯数を音質向上の根拠にしないことが重要です。
参考情報
[1] FiiO — “1 Dynamic 4 BA Hybrid IEMs FIIO JH5 Is Officially Released!”。参照日 2026-07-17。https://www.fiio.com/newsinfo/879500.html
[2] Super* Review Squiglink — FiiO JH5とHarman IE 2019 v2ターゲットの比較。参照日 2026-07-17。クローンIEC-711カプラー、左右チャンネル、比較時は500Hzで60dBに正規化。https://squig.link/?share=Harman_IE_2019v2_Target,Fiio_JH5
[3] spectrum Squiglink — FiiO JH5とHarman IE 2019 v2ターゲットの比較。参照日 2026-07-17。Sonyイヤーピース、左右チャンネル。https://spectrum.squig.link/?share=Harman_IE_2019v2_Target,FIIO_JH5
[4] HiFiGo — FiiO/JadeAudio JH5製品ページ。参照日 2026-07-17。新品在庫あり、14,614円。https://hifigo.com/products/fiio-jadeaudio-jh5
[5] 欧州中央銀行 — ユーロ外国為替参照レート。レート日 2026-07-16、参照日 2026-07-17。算出レートは1 USD = 162.195866円。https://www.ecb.europa.eu/stats/policy_and_exchange_rates/euro_reference_exchange_rates/html/index.en.html
[6] Super* Review Squiglink — FiiO JH5とMoondrop CHU IIの同一測定系による重ね合わせ。参照日 2026-07-17。クローンIEC-711カプラー、500Hzで60dBに正規化、スムージング5。https://squig.link/?share=Fiio_JH5,Moondrop_Chu_2_(S2)
[7] Audio Science Review — “Moondrop Chu II IEM Review”。参照日 2026-07-17。GRAS 45CA、94dB SPL/425Hz基準の周波数特性、複数レベルの歪み、群遅延、インピーダンス、感度。https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/moondrop-chu-ii-iem-review.55179/
[8] Moondrop — CHU II公式製品ページ。参照日 2026-07-17。https://moondroplab.com/en/products/chu-ii
[9] e☆イヤホン — Moondrop CHU II製品ページ。参照日 2026-07-17。新品在庫あり、4,950円。https://www.e-earphone.jp/products/380438
[10] FiiO — 保証規定。参照日 2026-07-17。https://www.fiio.com/serviceinsurance
(2026.7.17)
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