製品レビュー

Kiwi Ears Cadenza II

参考価格 ? 8800 円
総合評価
2.6
科学的妥当性
0.6
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
0.5
信頼性・サポート
0.5
設計合理性
0.6

左右の周波数応答がよく一致し、公開グラフから算出したHarman偏差STDは約1.6〜2.0dBのパッシブ有線IEMです。より安価な7Hz x Crinacle Zero:2を、個体間の違いを伴う暫定的な代替品としています。

概要

Kiwi Ears Cadenza IIは、日本では2026年2月20日に発売されたパッシブ有線イヤモニターです[7]。本稿はマイクなしの3.5mmモデルを対象とし、別にマイク付きUSB-Cモデルがあります。公表設計は10mmチタンコートPETダイアフラムと、200Hz付近までに8dBのサブベース増加を作ることを意図した、メーカー呼称KARS 2.0の音響システムを組み合わせています。着脱式0.78mm 2ピンケーブルと6ペアのイヤーピースが付属します[1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

Hangout.AudioとEarphones Archiveの独立したB&K 5128測定では、左右の応答がよく一致し、500Hzから20Hzにかけて約8dB上昇し、3kHz付近に広い山があります[2][3]。各サイトが用意する5128用Harman IE 2019ターゲットに対し、20Hz〜10kHzを対数等間隔で抽出して平均誤差を除いた標準偏差を公開グラフから概算すると、それぞれ1.6dB、2.0dBです。これは本稿で算出した概算で、測定者が公表した統計値ではありません。個体、イヤーピース、測定方法の違いもあり、比較の精度には限界があります。全体としてターゲットに比較的近い一方、4〜8kHzは控えめで、10kHz付近にはより深い谷があります。10kHzより上のピークにも測定間の違いが見られます。

Kiwi Earsの公称THDは1kHzで1%未満ですが、音圧または入力レベルの条件がありません[1]。独立した歪み測定とパッシブ遮音測定は確認できませんでした。周波数応答と左右の一致は中程度の肯定評価を支えますが、低歪みや高い遮音性能まで確認できたわけではありません。対象モデルにはANCや内部信号処理はありません。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

Kiwi Earsは独自のKARS 2.0音響経路設計と、新開発のチタンコートPETダイアフラムを組み合わせています[1]。内部のラビリンスは背圧と空気流を制御し[7]、製品固有の音響実装になっています。ただし、パッシブな音響室と振動板コーティングは確立した手法で、このモデルには電子回路やソフトウェアとの統合もありません。総合的な技術の大きな進歩というより、成熟した音響方式を改良した製品と評価します。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.5}\]

当サイトはドライバーの種類や構成を考慮せず、機能と測定性能値のみに基づいて評価しています。Cadenza IIの3.5mmモデルの国内実売価格は、ヨドバシカメラで税込8,800円、在庫残少、配送料無料です[7]。暫定比較に採用する最安候補は、マイクなし3.5mmの7Hz x Crinacle Zero:2です。日本向け掲載額は3,700円で、標準送料は無料ですが、中国からの発送で輸入税・手数料が発生する場合は別途必要です[6][8]。両製品とも3.5mmのパッシブ再生、交換可能な0.78mm 2ピンケーブル、付属イヤーピースを備え、DSP/EQ、無線接続、ANCはありません。同じ3.5mm出力の再生機器を使う場合、追加アクセサリーは不要です。

日本向け価格比の3,700円 ÷ 8,800円は0.4205です。地域による差があるため、評価は米国向けUSD建て価格に統一します。Cadenza IIは国内8,800円(米国向け価格49.99 USD)、Zero:2は日本向け3,700円(米国向け価格24.99 USD)です。括弧内は別市場の掲載額で、円価格の為替換算ではありません[1][4][6][7]。

CP = 24.99 USD ÷ 49.99 USD = 0.4999 → 0.5

USD建て価格も直接輸入の掲載額で、米国内倉庫の在庫確認済み価格ではありません。Linsoulは多くの国への標準送料無料を案内していますが、配送先の税金や住所によって必要となる費用は別途かかる場合があります[4]。

前述の計算では、Hangout.AudioのZero:2の3個体のHarman偏差STDは約1.7、2.0、1.7dBです。Cadenza IIは同サイトで1.6dB、Earphones Archiveで2.0dBでした[2][3]。中心傾向と確認できた範囲が近いため同等と暫定判断しますが、Zero:2の全個体が優れるという意味ではありません。特に2個体目は同一測定系のCadenza IIより偏差が大きくなっています。Zero:2は低域が約2〜3dB多く、10kHz付近の谷が浅く、超高域のピークは近い形状です。左右も概ね一致しますが、3個体目には150Hz付近で約2dBの局所差があります。より安価なGATEは平均のHarman偏差が小さい一方、Hangoutの個体では左右差が大きく、Salnotes ZeroとCHU IIは12kHz付近のピークが大きいため、これらの低価格を明確な同等品の価格としては採用しません[2]。

ASRのGRAS 45CAによるZero:2測定では、20Hz〜10kHzのTHDは94dBSPLと104dBSPLで約0.1%未満、114dBSPLで0.3%未満です[5]。94dBの曲線には測定ノイズによる制約もあります。これは比較品の低歪みを裏付けますが、音圧条件不明のCadenza IIの公称上限に対する実測上の優位までは確定しません。遮音性能の同等性も未確認です。暫定比較は確認された周波数応答の範囲と利用可能な歪み情報に基づき、個体数を増やした同一条件の周波数応答・歪み・遮音の比較によって変わる可能性があります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

Kiwi Earsの保証はイヤホン本体が1年間、ケーブルが3ヶ月です[1]。パッシブ構成には電池の経年劣化がなく、着脱式0.78mm 2ピンケーブルは、負荷を受けやすい部品をメーカー修理なしで交換できます。保証申請はメールまたはメーカーのウェブサイトで受け付けています。世界的な指定修理網、統計的な故障率、長期の修理対応期間は確認できませんでした。簡単な構造は実用上の長所ですが、保証期間は短めです。支援や故障率の不明な情報から信頼性の低さを断定することはできません。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

音響経路によって低域の特性を整え、外部EQを必要としない設計です。その経路を振動板に合わせることは独自機構の機能的な活用であり、着脱式ケーブルも日常の保守に役立ちます[1][7]。専用イヤホンとして合理的な目的があります。一方、メーカーは素材の純度や主観的な細部表現、音色も強調しており、全面的に測定を中心とする設計思想とはいえません。ケーブルの銅の純度やフェイスプレートの材質等級に、追加の可聴効果を認める根拠はありません。凝った素材や新モデルであること自体を音質向上とせず、目的に対応した音響設計を中程度に肯定評価します。

アドバイス

Cadenza IIは、サブベースを増加させた特性、左右がよく一致する応答、着脱式ケーブルを求める購入者に適しています。装着感や密閉性とともに、4〜8kHzの控えめな応答にも留意してください。独立した歪みと遮音の根拠は限られています。Zero:2は全体的な周波数応答が近く、追加の歪み測定もある安価な候補ですが、前述の個体差と遮音の制約には留意してください[2][4][5]。マイクや直接のデジタル接続が必要ならUSB-Cモデルを別途検討してください。その電子回路は本稿の評価対象外です。

参考情報

[1] Kiwi Ears - Cadenza II 公式製品ページ - https://kiwiears.com/products/kiwi-ears-cadenza-ii - 2026-09-26取得; マイクなし3.5mmモデル、通常価格、仕様、保証

[2] Hangout.Audio / In-Ear Fidelity - IEM比較グラフ - https://graph.hangout.audio/iem/5128/?share=Harman_IE_2019_(B%2526K_5128)_Target,Zero_Salnotes,Cadenza_2,Gate,Chu_2,EDX_Pro,Zero2_S1,Zero2_S2,Zero2_S3 - 2026-09-26取得; B&K 5128、測定系に適合させたHarman IE 2019、左右・複数個体の比較

[3] Earphones Archive - Cadenza II周波数応答 - https://earphonesarchive.squig.link/?share=Harman_IE_2019for_5128_Target,Kiwi_Ears_Cadenza_II(short_tip) - 2026-09-26取得; B&K 5128、短いイヤーピース、左右曲線、測定系に適合させたHarmanターゲット

[4] Linsoul - 7Hz x Crinacle Zero:2 - https://www.linsoul.com/products/7hz-x-crinacle-zero-2 - 2026-09-26取得; 正規販売店、マイクなし3.5mmモデル、通常24.99 USD、仕様、配送条件

[5] Audio Science Review - 7Hz x Crinacle Zero:2 IEM Review(amirm) - https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/7hz-x-crinacle-zero-2-iem-review.50534/ - 2023-12-18公開、2026-09-26取得; GRAS 45CA、付属の赤いイヤーピース、94/104/114dBSPLのTHDグラフ

[6] Linsoul Japan - 7Hz x Crinacle Zero:2 - https://linsoul.jp/products/7hz-x-crinacle-zero-2 - 2026-09-26取得; マイクなし3.5mmモデル、通常3,700円、中国からの直接輸入

[7] ヨドバシカメラ - Cadenza II Grey KWI050 - https://www.yodobashi.com/product/100000001009702015/ - 2026-09-26取得; 国内発売日、仕様、現行税込価格、在庫残少、配送料無料

[8] Linsoul Japan - 配送規定 - https://linsoul.jp/pages/shipping - 2026-09-26取得; 2,650〜46,650円の標準送料無料、輸入費用が発生する場合は別途

(2026.9.26)

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