Piega Coax 611
C112+コアキシャルリボンとTIM2ブレーシング付アルミキャビネットを採用し、デュアルウーファー+3基パッシブラジエーター構成で一貫した指向性と良好なインピーダンス特性を狙ったスイス製フロア型
概要
Piega Coax 611は、押し出しアルミの筐体にTIM2張力ブレーシングを備え、160 mmウーファー×2と160 mmパッシブラジエーター×3、C112+コアキシャルリボン(GEN2)を組み合わせたスリムなフロア型です(117 × 21 × 31 cm、45 kg)[1]。スイス・ホルゲンの自社工場で手作業生産され、GEN2コアキシャルは約450 Hzから担当し、内部のミッド-ツイーター間クロスは約3.5 kHzです[2]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.7}\]第三者測定では、電気特性が良好で線形性も堅実です。LowBeatsは感度84.6 dB(2.83 V/1 m)、連続約99 dB・短時間111 dBの最大音圧、全帯域で4 Ω以上を保つ極めて素直なインピーダンス/位相特性を報告しています[2]。メーカー公称は32 Hz–50 kHz、4 Ω、90 dBです[1]。公開THDデータが限定的なため、実測重視で慎重にスコアリングしました[1][2]。
技術レベル
\[\Large \text{0.9}\]C112+コアキシャルリボン(平面磁界型)は約450 Hz以上を一体で受け持ち、中域のクロスオーバー複雑性を抑えて位相整合を狙います[2]。TIM2による張力ブレーシングを含むアルミ一体筐体は、固有振動の抑制を目的とした自社メカ設計です[1]。デュアルウーファー+3基パッシブラジエーターのロードとコアキシャル実装は再現難度が高く、内製ノウハウと差別化の強さを示します。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.3}\]同等以上の機能・測定性能を持つ最安の受動フロア型として KEF R11 Meta を比較対象に選定しました。CTA-2034準拠の測定で非常にフラットな応答(ASR)、メーカー公称で低歪(80 Hz–20 kHzで0.5%未満)と高い最大出力(113 dB)、代表的な室内–6 dBで26 Hzまでの低域拡張を備えます[3][4]。米国実勢は3,250 USD/本(合計6,500 USD/ペア)[4]。
CP計算(USD): 6,500 USD ÷ 19,995 USD = 0.325 → スコア 0.3(小数1位丸め)。
選定理由:受動フロア型という機能同等性を満たし、周波数特性の平坦性・歪み・最大音圧といった主要軸で同等以上を満たすことを確認したためです[3][4]。
※本レビュー対象の国内価格は2,999,475円(19,995 USD)です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.9}\]スピーカーは6年保証(登録要)で、受動製品としては上位水準です[5]。米国ではMoFi Distributionが輸入・販売サポートを担い、PIEGA USAサイトにディーラー/サポート導線が整備されています[6]。受動構成・堅牢なアルミ筐体・ファームウェア非対象という要素も長期安定性に有利です。確認できる保証条件と流通体制に基づき高めの評価としました[5][6]。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]コアキシャルによる放射整合、ポート騒音を避けやすいパッシブラジエーター、剛性向上のTIM2ブレーシングなど、可測な性能向上に直結する設計が選ばれています[1][2]。コストは構造とトランスデューサ技術に主として投下されており、オカルト要素は見当たりません。公開歪みデータの限定性を踏まえ、実証範囲に応じた前向き評価にとどめています。
アドバイス
ボーカル帯域の整合性やスリムな設置性、アルミ筐体の精度を重視する方に適しています。実測感度(約84.6 dB/2.83 V/1 m)は控えめのため、4 Ωで十分な電流供給能力を持つアンプを推奨します[2]。同等の直線性と高出力をより低価格で求める場合は、KEF R11 Metaを必ず試聴候補に入れてください[3][4]。Piegaのリボン表現やアルミ構造に価値を見いだすなら、本機は有力な選択肢です。
参考情報
[1] PIEGA, 「Coax 611 — 技術データ」, https://piega.ch/de/products/coax-611 (2025年8月参照)
[2] LowBeats(Holger Biermann), 「Aluminum floorstanding speaker with ribbon coax: a test of the Piega Coax 611」, 2023年2月19日 — 感度84.6 dB、インピーダンス≥4 Ω、SPLおよびコアキシャルの分担帯域, https://www.lowbeats.de/en/aluminum-floorstanding-speaker-with-ribbon-coax-a-test-of-the-piega-coax-611/
[3] KEF, 「R11 Meta — 仕様」, 公称4 Ω(最小3.2 Ω)、FR(±3 dB)46 Hz–28 kHz、THD<0.5%(80 Hz–20 kHz)、最大出力113 dB、代表的室内–6 dB 26 Hz, https://us.kef.com/products/r11-meta (2025年8月参照)
[4] Audio Science Review, 「KEF R11 Meta Tower Speaker Review」, 2024年3月26日 — CTA-2034測定と価格(3,250 USD/本), https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/kef-r11-meta-tower-speaker-review.53282/
[5] PIEGA, 「Warranty Policy」, スピーカー6年保証(要登録), https://piega.ch/de/warranty-registration/warranty-policy (2025年8月参照)
[6] PIEGA USA(MoFi Distribution), 「Store Locator / 輸入元情報」, https://www.piegausa.com/pages/store-locator (2025年8月参照)
(2025.8.28)