製品レビュー

Zoom R24

参考価格 ? 25000 円
総合評価
2.8
科学的妥当性
0.3
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.4
設計合理性
0.7

24トラック再生、8トラック録音、8イン/2アウトUSBインターフェース、DAW操作、パッドサンプリングを統合した、生産終了済みのバッテリー駆動ワークステーションです。中古価格に対する機能の広さは際立ちますが、第三者のアナログループバック測定では大きな歪みが見られ、現行Mac向けドライバー対応も限定的です。

概要

Zoom R24は、生産終了済みのバッテリー駆動プロダクションワークステーションです。SDカードへ8トラックを同時録音し、24トラックを再生できます。8基のXLR/TRS入力(うち6基は24/48V切り替え式ファンタム電源対応)、8イン/2アウトUSBオーディオインターフェース、Mackie ControlエミュレーションによるDAW操作、パッドサンプラー兼リズムマシンも備えます[2]。本レビューの価格基準は、国内中古市場で確認できた動作確認済みの販売中個体25,000円です[3]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.3}\]

確認できた独立測定は、Zoom ASIOドライバーを用い、R24のライン出力からライン入力へ接続した24bit/44.1kHzの外部アナログループバックRMAAテストです[1]。したがって、マイクプリアンプ、ADC、DAC、ヘッドホン出力を個別に測った結果ではなく、アナログ出力・入力を通した系全体の結果です。

測定値はTHD 0.080%、A特性THD+ノイズ -59.4dB(約0.107%)、IMD+ノイズ0.060%、A特性ノイズレベル-95.4dB、ダイナミックレンジ95.0dB、ステレオクロストーク-81.1dBです。周波数特性は40Hz-15kHzで+0.39/-0.59dB、20Hz-20kHzではおよそ-2.10/+0.39dBまで広がります。公開されたスイープトーンのグラフでは、左右のIMDが5kHzで約9.25-9.35%、10kHzで21.65-21.80%、15kHzで33.24-33.50%へ急増しています。ノイズ、ダイナミックレンジ、クロストークは実用範囲ですが、歪みの結果から高忠実度のインターフェースとは評価できません。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

現行製品を基準にすると、R24の24bit/48kHz上限、USB 2.0の8イン/2アウト接続、DSPエフェクト、Mackie Controlエミュレーション、SD録音、サンプルパッドはいずれも成熟した技術です[2]。携帯機への統合度は高い一方、現在では標準的なコンバーター、DSP、ストレージ制御、コントロールプロトコルで競合も再現できます。公式製品・サポート資料からは、持続的な技術障壁となるR24固有の特許アーキテクチャや独占部品を確認できませんでした。小型ワークフローとしては依然有用ですが、現在の技術水準で先進的とはいえません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

価格分母は、レビュー時点で国内に出品されていた動作確認済み中古個体の25,000円です[3]。必須機能は、8基のコンボ入力、8トラック同時のスタンドアロン録音と24トラック再生、バッテリー駆動、8イン/2アウトUSB接続、DAW操作、パッドサンプリングの一体構成です[2]。

現行完成品で最も近い候補として確認したTASCAM Model 12は、24bit/48kHzで12トラックを録音し、12イン/10アウトUSB接続とDAW操作に対応します[4]。国内の販売中価格は78,166円でした[5]。しかもR24のバッテリー駆動とパッドサンプラーの使い方をそのまま代替するものではありません。調査したR24の中古価格以下の製品には、必要な入力数、スタンドアロン・マルチトラック録音、マルチチャンネルUSB接続、DAW操作、サンプラーを1台で満たすものがなく、全機能と測定性能が同等以上のより安価な構成は確認できませんでした。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.4}\]

価格基準は中古品であり、北米で提供されていた1年保証は購入者本人に限られるため、対象個体には適用されません[6]。Zoomは現在も取扱説明書、ファームウェア1.13、Windows 10/11用ドライバーを公開しています[7]。一方、掲載されているMac用ドライバーの対応範囲はmacOS 10.14-13までで、より新しいmacOSは掲載ドライバーの対応範囲外です。ダウンロードページが存続している点は有用ですが、生産終了、中古個体にメーカー保証がないこと、現行Macとの互換性が限定されることは長期運用上の弱点です。統計的な故障率、リコール、機種全体に関するサービス情報は確認できなかったため、故障頻度が不明であること自体は評価に反映していません。購入時には操作子、表示部、端子、電源、SDスロット、USB接続を個体ごとに確認する必要があります。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.7}\]

R24は、小規模な演奏者が1台で録音、編集、ミックス、サンプル再生を行い、その後はDAWも操作できるようにするという一貫した目的で構成されています[2]。バッテリーとSD録音は出先やリハーサルでの使用に直結し、フェーダー、入力、DSP、ストレージ、USB接続を共有することで機材の重複も減らしています。外装上の高級感よりワークフローへ資源を配分した点は合理的です。ただし、多数の役割を1台へ集約するため、部分的な冗長化や段階的な置き換えは難しくなります。携帯性と統合性を優先する考え方には合理性がありますが、密な一体構成はモジュール単位で更新できる柔軟性を犠牲にしています。

アドバイス

R24は、中古1台でパソコンなしのマルチトラック録音、DAW操作、サンプリングまで揃えたい場合、特にリハーサルや持ち運びを伴う制作で魅力があります。変換の忠実度を優先する場合は測定された系全体の歪みを軽視できず、Macユーザーは購入前に使用OSとのドライバー互換性を確認すべきです。現在入手できる個体は中古のため、8入力、ファンタム電源、フェーダーとトランスポートキー、表示部、SD録音、USBオーディオ、電池駆動、付属ACアダプターを購入前に実機確認してください。

参考情報

[1] RMAAテスト - ZOOM R24 ASIOドライバー - https://prosound.ixbt.com/interfaces/zoom/r8/r24.shtml - 参照日 2026-07-17 - 外部アナログループバック、24bit/44.1kHz、表とグラフを確認

[2] Zoom Corporation - R24公式製品ページ - https://zoomcorp.com/en/us/digital-mixer-multi-track-recorders/multi-track-recorders/r24/ - 参照日 2026-07-17

[3] メルカリ - Zoom R24 動作確認済み中古出品 - https://jp.mercari.com/item/m29661467451 - 参照日 2026-07-17

[4] TASCAM - Model 12公式製品ページ - https://tascam.com/us/product/model_12 - 参照日 2026-07-17

[5] Hibino.com - TASCAM MODEL 12販売ページ - https://www.hibino.com/view/item/000000006576 - 参照日 2026-07-17

[6] Zoom Corporation - Customer Warranty - https://zoomcorp.com/en/us/customer-warranty/ - 参照日 2026-07-17

[7] Zoom Corporation - R24 Support & Downloads - https://zoomcorp.com/en/us/digital-mixer-multi-track-recorders/multi-track-recorders/r24/r24-support/ - 参照日 2026-07-17

(2026.7.17)

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